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裁判員制度「不出頭」扱いの矛盾

 裁判員制度の施行から4年が経過したが、いまだ制度に反対する声も大きく、裁判員をめぐるトラブルも後を絶たない。

 8月、宮崎地裁で裁判員候補者となった女性が、ドメスティック・バイオレンス(DV)被害者であることから、その父親が辞退を申し入れたにもかかわらず、裁判所はそれを認めず「不出頭」扱いにしていたことが明らかになった。それだけではなく、別の事件でも候補者として選んでいたことも判明。のちに父親からの指摘を受け、裁判所は謝罪したという。

 正当な理由があれば「辞退」扱いとなるが、そうでない場合「不出頭」扱いとなり、これは裁判員法では「10万円以下の過料を科す事がある」と定められている。しかし、『裁判員制度はいらない! 大運動』の呼びかけ人、ジャーナリストの今井亮一氏は、「過料を科された人は今までいないようなのです。いれば大きく報じられるはずです」と語る。

 実際のところ昨年度、呼出状を送られたのは約9万7000人。選任手続日に出席した候補者の数は約4万2000人。事前に辞退を認められた人を含み、半数以上の約5万人は選任手続の日に出頭しなかったことがわかっている。
 「国がやっている制度だから自分も参加しなければ…と考えるような“善良”な人がバカを見る制度なんです。もし裁判所が仮に過料を科すとする。しかし、その場合は、第一号を今回のようなDV被害者にするはずはありません。たとえば、裁判員として審理に参加したけど突然来なくなったという場合になるのでは。'09年には、選任直後の裁判員が辞退を申し出て解任扱いになりました。仮に選ばれても『ノー』と言えば、裁判所は従うしかないんですよ」(同)

 少しでも不安があれば、気にせず不出頭で通すのが、自分を守る唯一の方法なのか?

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