松本が目にうっすら涙を浮かべながら「このままじゃ吉本は絶対良くない」と訴えた放送は視聴者の共感を呼び、朝10時という時間帯でありながら16.7%という高視聴率を記録した。
この日記録した16.7%という数字は『ワイドナショー』史上最高の視聴率。改めて本問題に対する世間の注目の高まりを証明することになったのだが、その一方、ネットでは突然の生放送を行った『ワイドナショー』に対し視聴者からは「収録ではなく毎週、生放送をやってほしい」「次回も生放送だったらいいのに」「松本人志と東野幸治がいきなりフジテレビに集まれるということは常に生放送ができるのでは?」と要望する声が相次いだという。
『ワイドナショー』は2013年の番組開始当初から、一貫して事前収録での放送を続けてきた。今回の放送を除くと、2014年6月に一度だけ生放送が行われたきりである。
情報バラエティという性質上、『ワイドナショー』は速報性や臨機応変さが求められる番組であるが、生放送でない弊害なのか、裏番組で生放送である爆笑問題の『サンデー・ジャポン』(TBS系)には毎週、視聴率争いで敗れている。
高視聴率を記録しながらも『ワイドナショー』が生放送に切り替えない理由は何なのだろうか。
「ワイドナショーのコンセプトを考えれば、生放送にするべきなのは出演者・スタッフも重々承知なのですが、生放送に踏み込めない原因は多々あります。まず、タレントのスケジュール問題です。確かに松本・東野らのメイン出演者は生放送をやろうと思えば集まれるのですが、東野さんは前日の土曜朝に大阪のABCテレビで『教えて!ニュースライブ正義のミカタ』という生放送のMCを務めている。土日に大阪と東京で生放送の司会を務めるのは体力的に厳しいほか、松本さんも深夜に行われる番組の企画会議に出席するため朝帰りが多く、毎週朝に生放送するのは双方に大きな負担がかかりそうです」(某週刊誌記者)
また、事前収録としてのメリットとしては「編集ができるので言い過ぎた発言がカットできる」「内容が判明している分、事前の告知がしやすい」などがある。また、『ワイドナショー』の総合演出がスポーツニッポン紙のインタビューに答えた際、「コメンテーターの発言が番組の主役なので収録、生放送という形式にはあえてこだわっていない」という趣旨の発言もしている。
もっとも、一度だけ実験的に行った2014年の生放送も通常放送と視聴率が変わらなかった。無理に『サンジャポ』と同じコンセプトにしてしまうと、ライバルである爆笑問題と比較されるリスクも出てくる。『ワイドナショー』としては「あえて危険な橋は渡らない」というのが本音であろう。
しかしながら、16.7%の高視聴率を記録した今回の緊急生放送。味をしめたフジテレビとしてはもっと頻繁に生で放送したいのではないだろうか……。