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安田記念(GI、芝1600メートル、7日) 丹下日出夫の虎の巻 東京の申し子ウオッカには逆らえません

 春の東京GI5連戦も今週でフィナーレ。「第59回安田記念」(芝1600メートル、7日)は、香港馬2頭を含めた精鋭18頭が上半期のマイル王の座を懸け、しのぎを削る。主役を張るのは、府中の申し子ウオッカ。これまでに挙げたGI5勝のうち、実に4勝を当地で稼ぎ出しているメンバー屈指のコース巧者だ。競馬評論家の丹下日出夫も自信の◎。牝馬歴代最多となるGI6勝目へカウントダウンが始まった。

 昨秋の骨折事故以来、どこかリズムに乗り切れない感じのあった武豊だが、ウオッカとのコンビになると、不思議と背筋がピンと張り、レース中はひと目で彼の姿をとらえることができる。それにしても、ヴィクトリアマイルの強さは格別だったなぁ…。
 なんて、ヴィクトリアマイル制覇で、ウオッカが積み重ねたGIは5つ。とりわけ、東京コースではダービー制覇に始まり、昨年の安田記念、天皇賞・秋、そして前走のヴィクトリアマイルと、4つのビッグタイトルを獲得している。さらに、マイル戦は、<6200>とパーフェクト連対。まさしく東京の1600メートルは、最高の舞台といっていい。
 実際に前走のヴィクトリアマイル。前半1000メートル通過は58秒6と、ややスローな流れになったが、折り合いはピタリ。ラスト3F11秒2→10秒8→11秒8(3F33秒8)という極限のレースラップ、さらに、強い向かい風の吹きつける中、持ったままでレースの上がりを0秒4も上回る33秒4を計時した。しかも、後続に7馬身差、走破時計もレコードにコンマ2秒差の1分32秒4だ。これらにウオッカのマイル適性が凝縮されている。

 その前走時はドバイ遠征の不可解な敗戦により、体調や能力の限界も心配されたが、すべてが杞憂(きゆう)に終わったウオッカ。レース1週後には、軽めながらも坂路で時計を出し始めたように、楽に勝ち抜けた分、反動も皆無だ。
 56キロの斤量で天皇賞勝ち。しかも、唯一の懸念材料である折り合いの不安も、マイルでは心配ない。安田記念連覇で牝馬最多GI制覇を成し遂げ、名実ともに歴史的名牝の座を不動のモノにするはずだ。
 対抗の1番手には、カンパニーを抜てき。さすがに8歳ともなると、上積みやデータ面における記録更新うんぬんは考えにくいが、メンバー最速の上がりを駆使して、ウオッカにクビ差と迫った昨年の天皇賞・秋(4着)等々、GI戦線で培ってきたキャリアがある。
 もちろん、前記ウオッカに加え、ディープスカイとスーパーホーネットの2騎も争覇圏。ディープは、ウオッカとは1勝1敗。天皇賞は、真っ向勝負でウオッカとハナ差の大接戦を演じている。前走の大阪杯は59キロを背負っていたこともあって、ドリームジャーニーにクビ差先着を許したが、直線は他馬とは一線を画すマッチレース。5歳春を迎え、力をつけていることも確かだ。ただ、ことマイル戦に限っては、2000メートルの天皇賞以上にウオッカに分がある。
 昨秋の毎日王冠でウオッカをアタマ差競り落としたスーパーホーネットにしても、あの時は逃げるウオッカ一頭に目標を絞ればよかった。好位でタメが利き、瞬発力につなげることができるマイル戦では、やはりウオッカに一日の長がある。
 ただし、両頭ともに勝ち気にはやったり、お互いけん制し合うようだと、後ろから気楽な立場で直線勝負に徹することができるカンパニーに、漁夫の利をさらわれる可能性もある。ウオッカにスキが生じるとすればここだけだろう。
 ほかでは、香港マイルCを制したサイトウィナー。日本でいうと6歳はピークを過ぎたと思われがちだが、セン馬がイニシアチブを握る香港マイルシーンにおいては、今が旬。レベル的にも当地のマイラーは世界でもトップレベルだ(さすがにアルマダは、8歳となりピークはすぎた?)。
 連穴はアブソリュート。前回のマイラーズCは、関東馬には鬼門の関西遠征。14キロ減が響き5着に終わったが、今回は東京新聞杯を圧勝したゲンのいい府中。ひと雨降れば、さらに面白い存在になるはずだ。

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