「一言でいえば、ない袖は振れぬで、アップしたくても原資がないんです。大相撲人気は慢性的な右肩下がり。トラブル続きもあって1昨年は48億、去年も10億7000万円もの赤字を計上しています。多くの親方は『給料をもらえるだけでありがたいと思わなくちゃ』と話し、力士たちに対しては『番付が上がれば給料も上がるんだから、もっともらいたかったら強くなれ』と尻を叩いていますよ」(担当記者)
力士たちも黙ってこのゼロ査定を受け入れてきたワケではない。平成20年の名古屋場所前には、当時の力士会会長の横綱・朝青龍が、「せめて場所入りするための交通費を出すくらいは考えてほしい」と訴えたが、協会首脳に完全に無視された。
ただ、あまりにも長期間、据え置きになると、この世界に入って10年以上経ち、結婚適齢期を迎えた中堅と、昨日、今日入ったばかりの新人の給料が一緒、という弊害を生む。このため、平成23年に協会事務員や裏方の呼出しや行司らだけは2.7%アップされたが、力士たちは恩恵に浴しなかった。
もっとも、今回の九州場所の惨状をみれば、やはり据え置きは致し方ないかもしれない。ケガとはいえ、序盤で琴奨菊、琴欧洲の2大関が休場し、優勝争いを演じたのは白鵬、日馬富士らのモンゴル出身力士ばかり。これでは客席が空席だらけになるのも当然か。
力士たちがベースアップを勝ち取るのは、いつになるのだろうか。