自民党幹部がこう語る。
「石破は4月1日に前原を含めた民主党閣僚経験者らと会談していたことが報じられたが、実は4月末にも前原とサシで密談に及んでいた。その狙いは2つ。安倍総理が進める憲法改正工作への同調と、衆参ダブル選挙の地盤固めで、安倍総理の密使として動いたと見られているのです」
ご存じの通り、憲法9条(平和主義規定)の改正を睨んだ安倍総理は、その改正要件である96条の緩和に前のめり。「国会議員の3分の2の賛成が必要」のハードルを過半数にまで下げようと躍起だが、その援護射撃に石破幹事長が暗躍していたというわけだ。
ただ、同氏が動いたのには自民党と安倍政権が抱えるジレンマがあるという。
「タッグを組む公明党は改憲に慎重。自民党内にも護憲勢力がいるため、改憲派である前原グループ17人の取り込みを画策したのです。ちなみに前原は側近の渡辺周元防衛副大臣らと、最近『憲法96条研究会』を発足させたばかり。魚心あれば水心で政界再編をエサに手を組んで、96条の改正を争点にダブル選挙に突入。改憲派議員を大量当選させて、一気に9条改正に向かおうという魂胆と見られている」(前出・自民党幹部)
つまり、そこには公明党と党内の反対派を抑え込む周到な計略が潜んでいたのである。だが、石破氏の暗躍には、さらに狡猾な思惑があるとも伝えられている。
「石破氏の狙いは、ダブル選挙による民主党の消滅です。自民党は、アベノミクス効果でダブル選挙に臨めば圧勝は間違いない。片や民主党は消えてなくなる可能性が高いのです。そのため、石破氏が密談場で前原に『選挙後合流しないか?』と持ち掛けたとの憶測も流れているほどなのです」(別の自民党議員)
果たして、この石破氏の策略が功を奏するのか。今後の展開が見モノだ。