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日本全国「ジェイソン村伝説」の真相

 全国各地にある無数の廃墟。そんな中には「地元の心霊スポット」と化しているところも多く、毎年夏休みになると地元の若者たちが肝試しに訪れるのが定番になっている。
 近所に住む人間にとってはいい迷惑だが、そんな心霊スポットには、決まって“怖い噂”がセットのように存在するものだ。
“怖い噂”の内容は、主に「自殺」と「殺人」の2つ。今回おとずれた『ジェイソン村』は後者、それも「一家惨殺」が起きた場所として伝えられている―。
 名前の由来になった「ジェイソン」といえば、アメリカの人気ホラー映画でおなじみ、ホッケーマスクにチェーンソーや鉈を装備した殺人鬼だ。そんなシリアルキラーが実在したとなれば、まさに恐怖のひと言だが、このジェイソン村の面白いところは、全国各地に同じ呼び名の心霊スポットが多々ある点だ。
 確認したところ、秋田、新潟、栃木、茨城、千葉、神奈川、山梨、熊本の8カ所に存在。インターネットでは「12カ所ある」との未確認情報もあり、さながら心霊スポットのフランチャイズチェーンのような広がりを見せている。
 まるで「発狂した男性が村民全員を殺して最後は自らも命を絶った」とされる都市伝説ではおなじみの『杉沢村』のような話ではないか。

●「茨城ジェイソン村」に突撃地元民が語った“真相”とは…
 今回訪れたスポットで、神奈川県の某湖畔にあるものと並んで“本家”と位置付けられているのが「茨城ジェイソン村」だ。現場は民家もまばらな郊外の田園地帯の一角にあるが、その敷地はビル3〜4階分はありそうな丈の高い木で覆われていた。目の前には交通量の多い県道が走り、心霊スポットとしては比較的アクセスが容易な場所である。
 ここには、次のような噂が流れている。
「発狂した母親によって一人娘が首を絞められて殺され、父親は金属バットで撲殺された」
「惨殺された少女の霊が出る」
 ところが、そんな噂を「ありえない」と真っ向から否定するのは、茨城ジェイソン村の近くに住む40代の男性だ。
「そもそも、あそこは住宅ではありません。百歩譲って“何か出る”としても、それは隣にある墓地だと思います」
 現場を見れば一目瞭然だが、どう見ても村ではないだろう。なぜなら入口には、《○○プレス工業》という企業名の入ったプレートが掲げられていたからだ。
 不法侵入にならないギリギリの地点から目視したところ、事務所棟らしき2階建ての廃墟、それと作業場らしき建物の廃墟が少なくとも2棟確認できた。いずれも倒壊の危険がある状態なのは明らかで、少なくとも放置されて四半世紀以上は経っているように見えた。
 一応、噂の由来になった事件・事故などがないか新聞記事などを検索してみた。しかし、それらしいものは一切ない。そこでもう一方の本家である神奈川ジェイソン村についても調べてみたが、こちらも同様に殺人事件が起きた記録もなければ、そもそも村ですらなかった。
 同じ構造の廃墟が何棟も並んでいるが、それは部屋ごとに建物が独立するタイプの廃モーテルだったから。廃集落っぽく見えないこともないが、明らかに村
ではないのだ。

●隔離された少女が家族を惨殺したと噂される「新潟ジェイソン村」
さらに、それ以外の地域にあるジェイソン村もただの廃墟に過ぎず、いずれも噂を裏付けるようなものは確認できなかった。ただし、噂だけなら「新潟ジェイソン村」は、茨城や神奈川に匹敵するほど有名だ。その噂とは、次のようなものである。
《かつてこの地に外交官一家が移り住んだが、夫婦には心を病んだ娘がいて、彼女は鉄格子の付いた部屋に隔離されていたという。そんなある日、少女は部屋を抜け出し、家族を惨殺したばかりか集落の村人を惨殺してしまった……》
 その噂の舞台とされているのが、写真にある2階建て一軒家の廃墟。地元では「ホワイトハウス」とも呼ばれており、新潟の心霊スポット好きや廃墟マニアなら知らない者はいないという。しかし、少女が津山30人殺しのような集落皆殺しをしていれば犯罪史に残る大ニュースになっていてもおかしくないが、「昔から住んでいるが、そんな話は聞いたことがない」とは近隣に住む80代の男性。とりあえず、各地のジェイソン村と名の付く場所は、ただの廃墟である可能性が高いと言わざるを得ない。
 とはいえ、ジェイソン村にまつわる噂のような惨殺事件が実際に起きた廃墟は、確かに実在する。それは、昨年、ついに解体されてしまったものの、九州某所にあった2階建て住宅の廃墟だ。
 ここでは、1982年に実業家の女性が、白昼から何者かによってメッタ刺しされて亡くなっている。現場となった住宅は事件後放置されて廃墟化。この廃墟を知る者も多くは噂が作り話だと思っていたようだが、正真正銘の惨殺事件があった全国の廃墟でも大変珍しいケースだと言っていい。しかも、この事件は未解
決のまま時効を迎えている。

●「ジェイソン村」伝説噂の起源となった殺人事件とは?
 他にも犯人こそ逮捕されたものの、千葉県内の某ラブホテル廃墟では、2004年に県内の女子高生の遺体が、放置された大型冷蔵庫から発見。犯人グループに拉致された後、暴行を受けて電気コードで首を絞められて窒息死したことが分かっている。昔から地元では有名な廃墟だったが、皮肉にも事件によってその名を全国に広めてしまった。
 筆者が知る限り、ほかにも実際に殺人事件が起きた廃墟はいくつかあるが、それでも数百に及ぶスポットに足を運んだうち、指で数えられる程度。自殺であればもう少し多いが、それでも全体の2割にも満たない。都市伝説などの民俗学に詳しい大学教授は、ジェイソン村について次のように分析する。
「最初に噂が拡散したのは80年代半ば以降。いろんな話がミックスされたと思いますが、元ネタのひとつとして有力なのが1982年に都内で起きた練馬一家5人殺害事件。借金トラブルによる凶行でしたが、奥さんとその次男、三女の3人の子供はハンマーで撲殺。次女は首を絞められて殺され、夫はマサカリで切り付けられた末の失血死。しかも、遺体は肉挽き機を使ってミンチにされ、トイレに流されるというむごいものでした。当時センセーショナルに報じられた事件で、ジェイソン村伝説に何らかの影響を与えたとみるべきでしょう。まあ、報道もされていない、我々が知らない“何か”が実際にあったのかもしれませんけどね」
 もはや単なる廃墟や心霊スポットではないジェイソン村。これは杉沢村に代わる新たな廃墟都市伝説といってもいいかもしれない。

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