ファーストステージ終了後、原辰徳監督(57)はスタンドのファンに手を振った後、三塁側の阪神タイガース和田豊監督に「ご苦労さま」と労いの言葉も掛けた。和田監督はこれが指揮官として最後の試合だった。原監督は、そういう試合を戦う心境が他人事とは思えなかったのだろう。
「10月5日、原監督は読売新聞本社で渡辺恒雄最高顧問と白石興二郎オーナーを訪ね、レギュラシーズンの結果報告を行いました。原監督が各メディアに明かしたように、進退に関する話は全く出なかったそうです」(スポーツ紙記者)
結果報告では、チームの今後や補強に関する意見交換がされたようだ。原監督は今季、2年契約最終年を戦った。3位でV逸した2011年は9月途中で『契約延長』を提示されている。契約満了はまだ通達されていないが、延長とも言われていない。CS終了と同時に退団と見て、まず間違いないだろう。
「通常、新監督を外部から迎える際、水面下で打診を入れ、先方の要望などを聞いたうえで正式交渉に入ります。阪神が金本知憲氏の招聘でゴタ付いているのは、事前の打診を全くしていなかったからです。内部昇格なら、川相ヘッドが有力。巨人の次期監督候補として名前が報じられた江川卓氏の周辺には、そういった動きはない」(ベテラン記者)
江川氏は日本テレビ上層部が推薦しているのかもしれない。しかし、ドラフト会議、秋季キャンプなど、次の監督が決まらないと動けない案件が直前に迫っている。そう考えると、続投か内部昇格が妥当だが…。
「いや、巨人は在野のOBを呼ぼうと思えば呼べるんです」(同)
読売本社内には『読売新聞スポーツアドバイザー』という肩書がある。近年、この職務に付いた巨人OBは監督に就任しており、同アドバイザー職は“次期監督の約束手形”のような捉え方もされている。
「故藤田元司元監督、原辰徳監督、堀内恒夫元監督が巨人の監督に就任する前に、その肩書を持っていました。原監督が第一次政権のときに2年で降板した際、緊急で堀内氏が招聘され、“約束手形”のイメージを強く印象づけました」(同)
特定の1人ではなく、何人かの有力OBがそれを務めているが、現在、その肩書を持っている有力OBの一人に鹿取義隆氏がいる。鹿取氏はWBCを後方支援し、国際野球大会をサポートしてきた。巨人が韓国プロ野球に在籍するアメリカ系外国人投手の獲得を検討する際、渉外担当者に変わって代理視察したこともあった。このように、原政権を後方からサポートしてきた経緯を考えると、鹿取氏も現実的な次期監督候補の一人かもしれない。
しかし、こんな情報も交錯している。
「近年中にも中畑清氏の名前が再浮上してくるのではないでしょうか。万年Bクラスだったベイスターズを再建させました。順位は伴いませんでしたが、DeNAは若手が確実に育っています」(球界関係者)
読売グループが来季の監督名を明らかにしないのは、CSを戦う現場を混乱させないためでもある。しかし、原監督の勇退を公表しても、「監督のために勝とう」という雰囲気にならないことも熟知しているそうだ。