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コンピューターゲームの20世紀 第16回…『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』

 <サスペンスドラマも真っ青の北海道連鎖殺人>
 東京湾晴海ふ頭に男の死体があがったとの知らせを聞いたあなたは、部下の黒木を引き連れ、さっそく現場に駆けつけたのだった…。

 名作アドベンチャーゲーム『オホーツクに消ゆ』が登場したのは1984年。毎回この連載を読んでくださっているゲイム脳諸兄にはもはや説明不要かと思われるが、本作のシナリオを手がけたのはドラクエでお馴染のあの堀井雄二。前後に発売された『ポートピア連続殺人事件』『軽井沢誘拐案内』と合わせ「堀井ミステリー三部作」と呼ばれ、未だにファンが多い傑作AVGである。
 なお、今回取り上げるのは最もプレイ人口が多いであろうファミコン版。オリジナルであるPC-6001版が劇画調のタッチであったのに対し、漫画家の荒井清和(オールドゲーマーには懐かしい『べーしっ君』など)を起用したファミコン版ではややコミカルなタッチに。しかし、シリアスなゲームの雰囲気を壊すといったことはなく、ファミコンのプレイ層を考えれば、この変更は結果的に正解だったようだ。少なくとも本作のヒロインである野村真紀子に関しては、ファミコン版のほうが魅力的に映る。
 また、本作はBGM(作曲はゲヱセン上野)が秀逸なゲームとしても知られているが、アポロンから発売されたサウンドドラックは発売後すぐに廃盤。そのため長らく幻のCDとなっていたが、2002年にファンの強い要望により復刻版が発売された。良質の刑事ドラマ(たとえば『特捜最前線』)というのは総じてBGMも優れているものだが、本作もその例に漏れず、ゲームの雰囲気に実に見事にマッチしているのだ。もしくはそのまま刑事ドラマに使われてもまったく違和感がない。

 <コマンド選択方式AVGのひな形>
 本作は初の「コマンド選択方式」が採用されたAVGである。それまでのAVGは「○○ イケ」といったように、プレイヤーが命令を直接キーボードでタイピングしなければならず、またこの煩雑な作業がAVG最大の欠点であったわけだから、本作が後のAVGゲームに与えた影響は計り知れない。ただし、コマンド選択方式では総当りで謎が解けてしまうため、重要なシーンではプレイヤーに単語を直接入力させる形をとるゲームは多い。
 このように、コマンド選択方式AVGは様々な工夫で難易度のバランスを調整しているのだが、オホーツクに関しては一風変わった仕掛けが用意されている。それは、とあるシーンで捜査メモ(パスワード)を取り、一度ゲームを終了しなければ絶対にゲームが先に進まないというもの(ただしパスワード入力を省略する裏技もある)。ちなみにPC-6001版には、あるアイテムを取るとゲームクリア不可になるといういじわるなトラップがあったが、ファミコン版では削除されている。

 <思い出の地を巡る旅はいかが?>
 本作をやったことがない方、あるいは過去に本作をプレイしたことはあるが記憶が曖昧という方は、この機会に是非プレイしてみてほしい。その秀逸なデキに思わず唸るはずだ。
 ちなみにこのゲームをプレイすると、フラっと北海道に行きたくなるのは私だけではないはず。もしも夏に旅行を計画している方がいらっしゃれば、ニポポ人形片手に、本作で登場した北海道の様々な観光地を巡ってみてはいかがだろうか。晴海ふ頭→高田馬場→北海道と順を追って旅すればなお良しだ。無論、その際は携帯音楽プレーヤーの準備をお忘れなく。本作の哀愁漂うBGMを聴きながら北の地を旅すれば、気分はまさにファイティングシュンスケ。摩周湖辺りで素敵な出会いがあるかも!?(内田@ゲイム脳)

(C)1987 ARMOR PROJECT (C)1987 LOGINSOFT

DATA
発売日…1987年6月27日
メーカー…アスキー
ジャンル…AVG
ハード…ファミコン

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