貴ノ富士は代理人弁護士を通じて「協会の将来に失望しました。協会とのやり取りに疲れ果てましたので、引退することを決意しました」とコメントした。
暴行を働きながらも「ガバナンスがなっていない」「付け人が言うことを聞かないときどうしたらいいのか」など、独善的な言い分で相撲協会を批判し“独り相撲”の要素が強かった貴ノ富士。協会側は厄介払いができてやれやれといったところだが、哀れなのが師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)だ。
「去年暮れの貴ノ岩に続き、1年もたたないうちにまたしても弟子が暴行事件を起こしたことになる。これには協会内で『指導が甘い』『元貴乃花の弟子というので遠慮しているんじゃないか』など、批判も多かったですね」(相撲協会関係者)
貴ノ富士が処分された9月末の理事会では、弟子に対する監督不行き届きを問われて自身も6カ月間、20%の報酬減額処分を食らっている。
踏んだり蹴ったりの千賀ノ浦親方は、貴ノ富士に「破門」を宣告してもおかしくなかったが、どんなに煮え湯を飲まされても貴ノ富士をかばい続けた。
「千賀ノ浦親方にすれば、元貴乃花親方から預かった弟子の1人ですから『最後までしっかり面倒見たい』という思いがあったのでしょう。部屋を飛び出した貴ノ富士と連絡が取れなくなっても、『何かあったらと不安になる。顔を合わせて話がしたい』と何度も身を寄せているマンションを訪ねています」(担当記者)
しかし、千賀ノ浦親方の思いは届かなかった。
「代理人弁護士から、『携帯電話にかけるのもやめてくれ』と言われ、引退届が届いた夜、貴ノ富士から謝罪の電話はあったそうですが、最後まで面談はかないませんでした。それでも千賀ノ浦親方は、断髪式にもできるだけ協力する構えを見せています」(同・記者)
親の心子知らず…。千賀ノ浦親方がふびんだ。