12月6日(日本時間7日)、ニューヨークの「トランプタワー」でトランプ次期米大統領と会談したソフトバンクの孫正義社長。2人は約45分に渡って意見交換し、孫氏は「米国でIT(情報技術)分野を中心にした新興企業に約5.7兆円投資することと5万人の新規雇用」を申し出た。見返りの一つが念願の「日米リアル・ワールドシリーズ」の創設だという。
「ソフトバンクは2013年に約1兆8000億円で買収した米携帯電話3位のスプリントと4位のTモバイルUSとを合併させ、AT&T、ベライゾンの2強に対抗する第三勢力を作る意向でした。しかし、米連邦通信委員会が寡占を警戒し断念した経緯があります。今回の会談でトランプ氏が『積極的に規制緩和する』と応じたことで、統合を仕掛ける環境が整ったのです。合わせて、長年の夢だった日米の王者同士が対戦するリアル・ワールドシリーズ創設を直談判したとみられている。携帯電話事業で日本のソフトバンクの名を知らしめるには格好のアドバルーンですからね」(経済誌アナリスト)
会談終了直後、両氏は揃って登場。トランプ氏は「業界で最も素晴らしい男の1人」と孫氏を絶賛。孫氏も「(トランプ氏が大統領になったら)もう一度(米国の)成長が加速する」と述べ、会談が大成功に終わったことをうかがわせた。
この動きと呼応するように、「WBCが来年3月の第4回大会限りで終了する可能性が高まった」と米国の各メディアは報じている。
WBCは、大リーグ機構(MLB)と大リーグ選手会が共同運営するWBCIが主催する大会。'06年の第1回大会から日本が連覇し、'13年の第3回大会はドミニカ共和国が初優勝。一方、主催国ともいえる米国は過去3大会で優勝は一度もなく、前回は2次ラウンドで敗退。日本や韓国、中南米諸国の引き立て役に甘んじ、人気もいまひとつだ。
「開幕前の3月に開催されるため、大物大リーガーは出場せず、米国は勝てません。しかも、前回大会の総収入は約80億円で、諸経費を差し引いた純利益は10億円程度。1兆円ビジネスを展開するMLBにとっては魅力がなく、出場各国との調整や会場確保などデメリットの方がはるかに大きい。今大会でも大きな収益が得られなければ、発展的解消は避けられません」(大手広告代理店幹部)
そこに割って入ってきたのが、日米両国のチャンピオンが戦うリアル・ワールドシリーズ構想だ。開幕前ではなく、日米のシリーズ終了直後に開催すれば、一流大リーガーも出場できる。
これまでMLB側は日本プロ野球を見下し実現しなかったが、トランプ氏の後押しが加わった。WBCは来春で見納めになりそうだ。