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夏場にマスコミ人の急逝相次ぐ 惜しまれる個性派ぞろいの足跡

 夏場に個性派マスコミ人の急逝が相次いだ。

 雑誌『経済界』主幹の佐藤正忠氏が肺炎で亡くなったのは8月17日、享年85だった。
 秋田県生まれで、明治学院大在学中に家族への仕送りと学費捻出のため易者をしながら全国を回る。その後、スカウトされてリコー社長市村清氏の秘書になる。退社後、経済界の前身・フェイス出版を設立し、経済ジャーナリストに転身した。
 取材を通じて政財界に多彩な人脈を形成。経営者の苦労話を聞いて、涙をぬぐう人情家としても知られていた。
 「財界の“けもの道”を熟知し、集金能力も抜群だった。もう、こういうジャーナリストは現れないでしょう」(マスコミ関係者)

 政治評論家の渡辺乾介氏が亡くなったのは8月12日のことだった。享年69で、原因はクモ膜下出血。
 渡辺氏は、上智大学文学部新聞学科中退。新潟県出身で歴代総理大臣、派閥領袖、野党党首など大物政治家に深く食い込む取材活動を展開した。『週刊ポスト』や『日刊スポーツ』(『政界地獄耳』)で、政治記事やそのアンカー(最終まとめ役)を担当した。
 「わかりやすさ、簡潔を売りにする週刊誌の原稿とは思えないほどの掘り下げぶりで、無署名でも原稿を見たら、すぐに渡辺氏が書いたものだとわかった」(前出・マスコミ関係者)
 ケニー鍋島のペンネームで、政治の内幕マンガ『票田のトラクター』の原作も手掛けた。小沢一郎氏の盟友としても知られ、著書に『小沢一郎 嫌われる伝説』などがある。

 元フライデー編集長・谷雅志氏が心不全で亡くなったのは8月10日のことで、享年58。
 直近の肩書は、取材相手からの告訴などに対応する編集総務局長だった。一般紙が企業幹部死去を報じる場合、社長、会長がほとんど。だが、谷氏の場合はその人脈の広さ、ジャーナリストとしての実力の評価から毎日新聞が報じ、追いかけて時事通信が配信。それだけ一目置かれた存在だった。
 「酒の強さは講談社でもベスト5に入るほど。きれいな飲み方をする人でしたね」(出版界事情通)

 合掌。

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