「シンガポールの『臨床栄養リサーチセンター』などの共同研究で『箸を使って食事をすると血糖値の増加レベルを示すグルコース反応が低く抑制され、糖尿病(2型)のリスクを軽減させる効果がある』との研究結果が報告され、学会誌『生理学と行動』(2014年12月号)に発表されたのです」(健康ライター)
シンガポールの多数を占める中国系の市民は日本人のように「箸」で食事するが、欧米系市民は「スプーン」を使い、マレー系やインド系市民たちは伝統的に「手」を使うことが多い。こうした食事習慣の違いに着目して、研究チームは「箸」「スプーン」「手」を使う食事習慣の異なる被験者11人を対象にして「実験」を開始した。
その結果「箸を使った食事後はグルコース反応が低く抑えられる効果があることを示した」「グルコース反応を低く抑制されることは糖尿病(2型糖尿病)のリスクを軽減させる効果が見込まれる」ことがわかったとしている。
リサーチセンターのヘンリー教授は、例えば「ごはん」の場合、箸はスプーンや手に比べて「一度に口に運ぶ量」が少なく、箸を使う人は一度に口の中にごはんを大量に入れないことから「時間をかけて少しずつ、それもゆっくり咀嚼する傾向があることになり、結果として炭水化物の消化に時間がかかり、これが食後の血糖値の増加が抑制されることになるのだ」と分析している。
研究チームは「箸を使わない人はゆっくり少しずつ噛んで食べる習慣を、箸を使う人もかき込まずに。そして少し冷めたごはんの方が効果的」というが、箸民族としては大きなお世話にも聞こえる…。