多分1970年代前半の時代設定になっている観月ありさ版のサザエさん。ダイヤルチャンネル式のテレビや、伊藤博文の千円札や岩倉具視の五百円札といった紙幣など懐かしい当時の物と、バブル前のつつましやかな庶民の生活ぶりが垣間見られるいい雰囲気。でも穴子さん(武蔵)からカツオくんたちに渡されたお年玉が100円玉って、チャッピーもうちょっともらっていたような気がするけど…。
大阪に二泊三日で出張するマスオさん(筒井道隆)の意味深な発言により、家じゅうが大騒ぎになる話も面白かったけど、ワカメちゃんが見た不吉な初夢のせいで、カツオに次々トラブルが押し寄せる話では、兄思いのやさしい妹の姿に涙。ちょっとだけ繊細でアニメを離れたワカメちゃんは将来きっと宮沢りえみたいな美人になれるわよ。(オトナグリコ的に言うと、カツオは浅野忠信にタラちゃんは瑛太にイクラちゃんは小栗旬になるのだけれど。)とにかく「毎日かあさん」をはじめ、2011年は兄妹のブームが来るのかも。やっぱりお兄ちゃんって呼ぶ妹って絵になるわ。
漫画が描かれた終戦まもない時期には、まだまだ日本人は貧しく、女性の地位も低かった、サザエさんのように専業主婦として家庭を守っていた女の人はすごく多かった時代。サザエさんは子供がいても実は若い(設定24歳)娘なので、いろんな失敗もするし成長もする。そして夫のマスオさんも、妻の実家で暮らす事にさしたストレスを感じていない。男社会だった当時、時にお母さんがお父さんをたしなめたりもする磯野家は当時としては最先端。戦前生まれの作者・長谷川町子先生はそういう時代の空気を感じ取っていたといわれているの。サザエさんの漫画をよーく見てみると、女性と男性のキャラクターの背の高さが同じなのよ。だから男女平等を象徴するヒロインのサザエを演じる女優は背が高くないとダメ。だから観月ありさでしっくりくるの。その他のキャラクターもそれなりにはまっていたわ。
それにしても、カツオ(荒井健太郎、大人の自分・タカアンドトシのトシ)が妄想する、大人になった花沢さんがハリセンボンの近藤春菜なのに対し、花沢さんが妄想する、大人になった自分が佐々木希なのには大笑いしたわ。これが今年の初笑いね。(チャッピー)