今季のカープは優勝候補の筆頭に挙げられていたが、いまだ最下位付近に低迷している。開幕ダッシュに失敗したころは「そのうちエンジンがかかってくるだろう」とファンも大目に見ていたが、鯉のぼりのシーズンが過ぎ、交流戦も終盤を迎えたというのにもたついたままだ。その敗因は打てない打線に尽きるが、「最少失点に抑えても報われない先発投手陣の集中力も切れ掛かっている」と“内部崩壊”の危機も囁かれ始めた。
火薬庫は、粘投しても勝ち星が増えないマエケンだ。
「前田はメジャー挑戦の夢をいったん封印し、チームの優勝に懸けています。松田元オーナーとも話し合い、『優勝し、誰からも応援してもらえるような活躍を見せてから渡米する』という気持ちで挑んでいます。でもチームは一向に浮上せず…。このままではポスティングによるメジャー挑戦は夢のまま終わってしまいます」(担当記者)
6月8日現在、チームは25勝32敗、首位巨人から6.5ゲーム差を付けられての最下位。前田個人は4勝4敗だが、防御率はリーグ2位の1.76、奪三振数も73で同じく2位の好成績である。既に82イニングを投げているが、被本塁打はたったの『1』。先発投手に対するメジャーリーグの評価項目でもあるクオリティー・スタート(6回を自責点3以内に抑える)に当てはめれば、11試合の登板全てでそれをクリアしている。
今シーズン、マエケンが登板した翌日のスポーツ新聞には『見殺し』なる見出しがよく躍る。
「5月26日の千葉ロッテ戦では勝利したものの、救援陣が失点を重ね、マエケンの勝ち星が消える寸前でした。6月2日の日本ハム戦は8回2失点の好投もむなしく、救援陣が最終回に逆転を許してしまいました」(同)
昨季の快進撃とは大違いである。「打てない」のはある程度、予想されていた。しばらくの間、本塁打王のエルドレッドを欠き、得点力のダウンは否めなかった。
「緒方孝市監督は二軍監督も経験しており、今の主力選手の若手時代を知っています。彼らをかわいい、一人前に育ててやりたいと思う気持ちが裏目に出ている感じです」(ベテラン記者)