7月行われた名古屋場所の後、大相撲界では一目置かれる存在の横綱審議委員会(横審)が、一体どんなカミナリを落とすのかと注目されたが、まるでただの応援団のような発言が耳についた。
稀勢の里は白鵬の連勝を43で止めたものの、平凡な11勝に終わった。すると内山斉委員長(読売新聞グループ本社顧問)は、すぐさま「今場所の成績は割り引いて、秋場所、全勝優勝なら横綱にあげてもいい」と未練たっぷりに擁護。
また、優勝争いにはまるで絡めず、10勝にとどまった日馬富士に対しても「来場所の成績いかんによっては“激励”もありうる」と、こちらは5月場所後に聞いた内容と全く同じ発言をして周囲をあきれさせた。
横審は、内規で成績不振な横綱に対して、『引退勧告』『注意』『激励』などを行えることを定めているのだが、内山委員長は前回言った分を無かったことにして、日馬富士に一場所の猶予を与えてしまったのだ。
大赤字を抱え、営業的にどうしても新しい目玉が欲しい協会首脳が、稀勢の里の綱取りに固執するのはわかる。しかし、協会とは一線を画し、第三者的な立場で横綱、大関を厳しく査定する横審がこれでは、協会の御用聞き委員会と言われても致し方ない。
「昔はメンバーに一家言を持つ相撲通が多かったのですが、最近は体のいいファンクラブと化してしまった。平成6年秋場所後、貴乃花の横綱昇進の諮問に横審が内規にそぐわないと言って突っぱねたことがありました。今や昔の感が強いですね」(協会関係者)
こんな横審に対しては、ファンから“激励”される日も近いだろう。