「東電によれば、浮き上がったのは縦56メートル、横45メートル、深さ6メートルの3号貯水槽。汚染水漏れの発覚で、溜めていた汚染水を地上タンクに移送して空の状態でした。3、4号貯水槽は、いずれも1〜4号機の建屋の山側にあり、1日1000トンの地下水が流れている。貯水槽周辺の地下水位は、4月から1メートル程度上昇していたといいます」(社会部記者)
今後東電は、地下貯水槽の上に50センチほどの砂利を敷き重しにするという。ゲリラ豪雨などで急に地下水位が上がった場合は、地下貯水槽の周囲の井戸から地下水を汲み出し、別の地下貯水槽に移す計画だ。
「地下水から高濃度の放射性物質が確認された海側一帯は、原発を建設した50年前に砂岩などで埋め立てられたため地盤が緩い。遮水壁によって敷地内に水が溜まると、1〜4号機周辺が液状化する恐れが十分にあったのです」
高濃度の汚染水が原発前の港から外洋に流れ出れば、海外の顰蹙を買うばかりか損害賠償を請求されかねない。
「これが日本海なら韓国、中国からの損害賠償も考えられますが、太平洋側で幸いした。しかし、何万ベクレルの汚染水も太平洋に入ったら薄められ、どこへいったかわからなくなる。グリーンピースなどの団体が騒ぎ出し、外圧が強まる可能性もあるのです」(ジャーナリスト・窪田順生氏)
奇しくも東京電力は、9月18日に襲った台風18号で、地上タンクの堰に溜まった雨水を原子力規制庁の了承を得ず、排水し問題となった。“後手”の状態はいつまで続くのか。