心筋梗塞や狭心症の経験者はリスクが最も高い。その場合、薬による治療を検討し、LDLコレステロールを「100未満」に下げることを目指す。また糖尿病や慢性腎臓病、抹消血管の動脈硬化がある人や脳卒中経験者は、2番目に高いリスクに挙げ、生活習慣の改善や必要に応じて薬も使い、LDLコレステロールを「120未満」にし、慢性腎臓病を新たなリスクに加え監視するとしている。
さらに悪玉、善玉を含めた総コレステロール値と血圧がわかれば、10年以内に心筋梗塞などで死亡するリスクが、自分でもわかるように図で示す、フローチャートも出来ている。
「いずれにしても、専門医に相談すれば、より詳しい予防法や、個人的なリスクについてもわかります。ホルモンの働きなどで女性は男性よりリスクが低い。年齢や喫煙習慣でもリスクは異なる。それらについても正確に評価できるように、予防指針には盛り込まれています」(動脈硬化学会関係者)
こうして、60歳未満の女性は持病などが無い限り、LDLコレステロールの目標値も「160」と緩やかになるなど、薬より生活習慣の改善を優先させていることがわかる。男性も、高血圧や高脂血症の傾向がなければ60歳以下なら同様だ。
いずれにしても、動脈硬化が進めば、死につながる心疾患や疾患を引き起こす要因になることは明らか。
予防策として真っ先に挙げられた生活習慣の改善も、わかってはいるが、なかなかできる人は多くない。そこで「これくらいは…」という改善策を提案してみよう。これなら、貴方にも出来るかもしれない。
まず、タバコ吸っている人は「禁煙」する。そして運動だ。理学療法士の新井雄司氏に聞いた。
「運動は歩くことです。ウオーキングなど“有酸素運動”を勧めたい。それも、話はできるが、歌を歌うのは息が上がって難しいぐらいの速さで歩く。ちょうどいいと思います。後はとにかく体を動かすことです。睡眠も重要です。運動をすれば、規則正しい睡眠を取れるようになれますし、それに向けて努力してください」
食事は栄養管理士の林氏も語っていたように、「とにかく油脂分の多い物は避け、鶏卵やタラコも控えるように。当然、塩分も控えめに。また、タンパク質は豆類や魚を中心にする。野菜も十分に摂り、ブロッコリーや小松菜、ホウレンソウはビタミンCやA、Eが豊富でお薦め」と言ったことを参考に、食事のチェックも大切な事だ。
「食で患う病気は、食で治す」は、響きのある格言だ。