「横浜F・マリノスの筆頭株主は日産自動車です。トップが逮捕されたことで、グループ全体にもさまざまなゴタゴタが及んでいます」(全国紙社会部記者)
崩壊さえ招きかねない…。マリノスはそんな大きな岐路に立たされているようだ。
「ゴーン容疑者は社内の大幅なコストカットを断行し、日産の野球部を事実上の解散に追い込みました。マリノスもコストカットにより骨抜きにされてしまい、今日に至っています」(スポーツ紙記者)
そのゴーン容疑者がいなくなったことで、クラブ、ならびにJリーグ関係者の見方は二分されている。コストカッターがいなくなり、「マリノスへの支援体制が強まる」と見る向きもあるが、それに反論する声も聞かれた。
「2013年がマリノスの最大の危機でした。3期連続で年5億円余の赤字を計上してしまい、Jリーグのクラブライセンス制度に従えば、アマチュアリーグのJFLへの降格という状態に。このとき、鶴の一声で10億円のクラブ出資を決めたのがゴーン容疑者だったのです」(サッカー専門誌記者)
不透明なカネの疑惑で逮捕されたわけだが、緊急措置で大金を動かすことができたのも、ゴーン容疑者だけだったようだ。その有力者がいなくなれば、危機的状況に陥った際に助けてもらえないだろう。
「ゴーン容疑者が逮捕された翌日、クラブの元経理職員の着服が発覚し、Jリーグから譴責(けんせき)や制裁金のペナルティーが科せられました。こういった不正があったため、グループ本社に支援を表立って言えなくなってしまいました」(同・記者)
ゴーン容疑者の失脚により、クラブに出向する職員も変わるとの見方もされている。経営に良識派が集まれば、クラブは根本的な改革ができるのかもしれない。
「練習施設の見直し、中村俊輔など他クラブに散った功労者の帰還が必要ですが、そのためにはやはり大金が必要」(同)
カネにまつわる事件を収拾させるのも、要はカネ。名門崩壊阻止の命運もカネ次第となりそうだ。