同日の都庁定例会見で記者団の質問に答えたもの。後輩知事の動向はやはり気になっていたようで、ホイ来たとばかりに持論を展開した。まずは東国原氏について。
「僕はあの人、なかなかしたたかな芸人だと思ったね。悪い意味で言っているんじゃないよ。いかにも半分以上本気じゃないかと思わせるような表現してるけど、どう考えたって(総裁選出馬に必要な)20人の推薦人が集まるわけがない」
その上で「手ごたえのある仕事をすればするほど、国の規制の壁ってものを感じるんだろう。しかし、国会議員になって何ができるか。私もその虚しさを感じたから辞めたんだけど、彼はそれを十分承知してああいう表現をしたんだろう」と読み解いてみせた。
つまり、のめない条件をあえて提示したところが“芸達者”だというわけ。さりげなく「そりゃ知事のほうがよっぽど仕事ができますよ」と国会議員を小バカにすることも忘れなかった。
一方、暴走モードの橋下氏とは、前日25日にサシで隠密会談したことを得意げに明かした。橋下氏の戦略は、首長グループを結成して各政党に地方分権を迫り、その回答いかんで衆院選の支持政党を表明するというもの。横浜市の中田宏市長らは政党支援には否定的で、孤独な戦いになりかねない状況にある。
わざわざ訪ねてきて、「石原さん、どうですか? 息子さんが2人とも自民党にいるからそうはいかないかもしれませんが…」などと連携を打診する橋下氏を、「そんなことじゃないんだ」と諭したという。
「総選挙の前に首長たちが宿題を出す。これだけきわどい選挙になってきたら、それに対する答案は全く同じだと思う。そのときにキミ、どう差配するの?」
橋下氏は「うーん」と笑っていたという。
「この混乱に乗じて、国にびしっとした“請求書”を突き付けるのはたいへん結構なこと。しかし、万人から選ばれた知事が支持政党を決めるのはちょっと問題がある。結果次第では議会運営で行政に滞りをきたさないとも限らない。私はそれをしません。老婆心というか忠告を兼ねてそう言いました」
東国原氏と橋下氏の手法は異なるが、地方分権の志は同じ。その知名度や人気を利用しようとする国政に対し、逆攻撃を仕掛けた点も一緒だ。石原氏は就任当初、「国にケンカを売る」が口グセだった。
◎マイケルはあまり好きじゃない
石原知事は世界的歌手マイケル・ジャクソンさんの急死について「ファンでもないし、新しい音楽ってあんまり好きじゃないんだよな」としたうえで次のように述べた。
「音楽にしろ何にしろ、一世を風靡した人っていうのは、その時代に生きている人の人生を通じての情感や情念を代表している。マイケル・ジャクソンが表象した時代は作家の死とともに終わった。そういう哀悼の意を多くの人が感じていると思いますよ」
それだけにとどまらず、「マドンナが死んでもマイケル・ジャクソンが死んでもがっかりしないけど、ビング・クロスビーとか、シナトラ…はあんまり好きじゃなかったな。そういう人が死んだときにはちょっとがっかりしたね」と振り返った。
音楽はビートルズやエルビス・プレスリーを感動しながら聞いたといい、「日本人の下手くそな文章になっていない日記をわめくみたいな歌はちっともいいと思わねえ」とも述べた。