しかし、日本高等学校野球連盟(高野連)をはじめ、高校野球関係者の関心はセンバツ後の春季大会から導入される『タイブレーク制』に向いている。
「センバツ開幕の前日に開かれる理事会で正式決定されますが、それは形式上の話。高野連の1月定例の会合でまとまった原案通り、硬式、軟式ともにタイブレーク制で延長戦の勝敗が決まります」(スポーツライター・美山和也氏)
無死一・二塁、打順はチームが選択する。開始は延長10回か、13回。これは各地区主催者が決定する。軟式は今夏の第60回全国高校軟式選手権大会から導入され、走者設定は同じ。延長13回からスタートするという。硬・軟式ともに15回で決着がつかなかった場合は再試合となる。
「硬式の導入は、まずは甲子園大会や甲子園につながる夏秋の地方大会以外の試合に限られます。延長突入の試合は決して多くありませんが、有力指導者にこの件で話を聞こうとすると皆口が重いですね」(美山氏)
タイブレーク制が投手に多大な影響をもたらす直近例がある。同制度をいち早く導入している明治神宮野球大会で、それが見られたのだ。大学の部準々決勝、関西大対創価大は1対1のまま延長戦に突入。観客をうならす投手戦はタイブレークによって創価大が勝利したが、次試合で敗退。投手は一球も気を抜けない場面の連続だった。その精神的負担が大きかったのか、次の準決勝で精彩を欠いてしまったのだ。
昨年7月実施の全国指導者アンケート調査では導入賛成が49.7%。この結果を高野連事務局は「消極的賛成」と評した。体の負担軽減と引き換えに精神面で潰れてしまっては、元も子もない。