今回、原氏がノミネートされたのはエキスパート表彰の部門。監督・コーチ、もしくは現役引退から21年が経過した選手が対象で、監督として輝かしいキャリアを持つ原氏は、当選確実とみられていた。しかし、受賞したのは、星野仙一楽天球団副会長と大洋のエースとして活躍した平松政次氏。プレーヤー表彰は伊東勤ロッテ監督だった。
「既に殿堂入りしている球界の有力OBと30年以上の取材キャリアを持つプロ野球記者による選考でしたが、球界の重鎮たちが原氏にノーを突きつけたのは、野球以外のところに理由があります。女性スキャンダルをもとに暴力団関係者に恐喝され、1億円を支払っていた事件がまだ尾を引いているのです。この結果の持つ意味は重く、GMや球団幹部としての巨人への復帰は言うに及ばず、東京五輪日本代表監督就任も難しくなりました。巨額のスポンサーマネーに支えられている五輪では、何よりクリーンさが求められるからです」(スポーツ紙デスク)
原氏には、東京五輪の代表監督に特別な思いがある。五輪のメーン球場は、相模原市出身の原氏と縁の深い横浜スタジアム。監督だった父・貢氏との父子鷹で東海大相模高、東海大時代、同スタジアムを何度も沸かせた。その貢氏は'14年5月に死去し、同大学野球部名誉総監督の称号が追贈されたが、原氏は父との思い出が詰まった球場で開かれる東京五輪で有終の美を飾ろうとしているのだ。
「このまま引き下がれない」
そんな思いが、原氏に大きな決断をさせたのだろう。プロ球界を離れることでアマ資格を獲得する、それが原家とゆかりが深く、自身の出身母校でもある東海大の総監督就任だ。
「東海大は12月22日、リーグ優勝15回の実績を持つ横井人輝監督を電撃解任すると発表、現社会人日本代表監督の安藤強氏が次期監督に内定しました。この人事には、山下泰裕副学長と昨年12月に東海大客員教授になった原氏が関わったと噂されているのです。山下氏の1年後輩にあたる原氏は今回の殿堂入りの落選も視野に入れ、新たな進路を模索していたのかもしれません」(スポーツ紙記者)
大学野球の監督に就いた球界OBは数多い。古葉竹識氏(広島)が東京国際大、江藤省三氏(巨人)が慶応大、高橋善正氏(巨人)が中央大の監督を務めている。中でも古葉氏は、カープで4度のリーグ優勝、3度の日本一に導いた名将だ。
「東京五輪を目指す原氏は“プロ野球ルート”を断念、神奈川と東海大を拠点にアマ球界との関わりを強め、侍ジャパンの指揮権を掌握する“コペルニクス的大転回”を図ると見られています」(同)
大物が降臨するアマ球界から目が離せない。