「真弓体制の失敗として報告された懸案の一つに新任のコーチが多かったことが挙げられました。結果的に、選手への指示が甘くなったと。和田体制でコーチ経験豊富な年長者を加えたのはそのためでした」
次世代の指導者を育てる意味合いも含め、招聘されたのが平田二軍監督。西武ライオンズが潮崎哲也二軍監督の昇格に動き出したように、「二軍での指導者経験を生かして」の流れを作る可能性もある。しかし、南社長は「可能性」より「確実性」を求めるという。
「監督経験もあり、優勝の実績があるのは岡田元監督です。岡田監督は'08年、13ゲーム差を巨人にひっくり返された責任を取って退団しましたが、その後の言動が、ちょっと…。スポーツ新聞でコメントを求められると、必ず現場、フロント上層部を批判してきました。岡田元監督を煙たがっているスタッフも少なくありません」(前出・関係者)
昨今の岡田発言はビミョーに内容が変わってきている。「今成を攻撃的2番で固定し−−」「今はゲーム差を縮めるだけでいい。終盤戦の勝負どころでは−−」など、監督のような建設的な意見を続けている。
本人も復帰に色気を持っているのだろう。
「岡田元監督の欠点が、もうひとつ。とにかく頑固です。意見対立したら絶対に折れない。南社長も頭を抱えていた一人ですが、優勝を意識するならば、岡田氏復帰の方向で中村GMと話を進めるのでは」(同)
ただし、6年前にクビにした仇敵を“全面降伏”で迎え入れるつもりはない。将来の指導者として、金本、矢野のいずれかも入閣させ、その教育係も託す。その見方では「金本よりも矢野」だという。
「金本を迎えるときは、フロント、親会社が一体となっての監督要請。コーチ業で地味に勉強させるわけですから、捕手出身の矢野が先になると思う」(同)
岡田元監督の復帰で一本化できなかった場合、平田二軍監督の昇格か、金本で冒険する空気が作られていくだろう。
「昔と違うのは、株の関係でそのまま阪急の方が強くなっていることです。なので、中村GMを切って一気の若返りだってあり得ます。球団はソノ気でも、実は岡田さん自身のホンネは現場復帰に消極的と聞くし、掛布DCの待遇にしてもスキャンダルを恐れてもたつくようなら、オーナーの鶴の一声『金本!』があっても不思議ではありませんよ」(阪神球団OB)
ファンに罵倒されて気持ちが揺らいでいるのだろうか−−。ともかく、本社の都合でトラの命運が左右される図式は変わらない。