5月23日の楽天戦、4点リードにもかかわらず先発のホールトンを5回無死一、二塁で降板させ、また26日のオリックス戦では、失策後の打席で3球三振した村田を初回でベンチへ…。まさに懲罰的な采配の連発で“チーム引き締め”に躍起なのだろうが、ベンチはホールトン、村田に同情的で、原監督はいっそう孤立しつつある。
「松井の引退式があった5月5日以降、チームの雰囲気がおかしいのは事実。とにかく打てない。理由の一つは橋上戦略コーチが明確な指示を出さなくなったことにあるようで、原監督は『スコアラー、コーチが選手を少し迷わせているように見える』と糾弾したものの、橋上コーチは『特別な指示は出していない』とクールに反論するなど、ベンチ内がかみ合っていない。ほんのちょっとだけアドバイスを送れば、すぐに結果を出せる好打者揃いの巨人なのに、意図的なのか橋上コーチは及び腰なのです。ベンチ全体に何が何でも勝つという意欲が完全に失せています」(巨人担当記者)
さらに、チーム内の混乱を増長しているのが、ニューヨーク・ヤンキースが発表した松井秀喜氏との“一日契約”。7月28日にヤンキー・スタジアムで引退セレモニーを行うのに伴い、一日限定のマイナー契約を結んだのだが、ここに巨人の思惑が潜んでいるという。
「プロ野球選手が現役を引退した場合、通常、最後に契約した球団が所属した球団名となり、松井氏の場合は『元レイズ』です。これでは巨人監督のイメージにはそぐわない、と考えたのでしょう。巨人は松井にヤンキースと一日だけの契約を結ばせ、『元ヤンキース』に肩書を変更させたのです。それほど読売サイドは松井監督誕生に気を配っているわけで、選手たちの心が松井氏にシフトするのは自然の流れなのです」(大手広告代理店社員)
さて、阪神には「好景気の年に優勝する」という縁起がある。阪神は戦後、5度リーグ優勝(1962年、'64年、'85年、2003年、'05年)しているが、これが見事に日本の景気と連動しているのだ。'62年と'64年は、まさに高度経済成長期。'85年はプラザ合意で円高ドル安が進み、日銀の金融緩和でバブル幕開けとなった年。'03年、'05年は小泉政権下で大胆な規制緩和が進み、景気が一気に拡大した。
そして今年はアベノミクス、6度目の優勝の機は熟している。
「今年の阪神は東京ドームで3タテを食らわせたように滅法巨人に強い。しかもポスト金本に期待された福留孝介が左膝手術で戦列を離れ、シカゴ・カブスに移籍した藤川球児に代わって新守護神に就いた久保康友が機能しない、そんな状態でも巨人から離されずについて行った。スーパールーキーの藤浪晋太郎を抑えに起用するプランも温めており、そうなればもっと勢いが付く。いずれにしても阪神が事実上、原監督勇退の決定打を放つことになるでしょう」(前出・スポーツ紙記者)
虎にとどめを刺される格好の原監督には、長嶋氏のような“終身”は付かないが、『巨人軍名誉監督』就任案が検討されているという。ベンチがしらけるのも無理はない。