ところで、2000本安打達成まで、ラミちゃんが7本、ノリ(中村)もあと32本。同じチームに2人もいるというのも久しぶりだね。ノリは定位置の絡みもあるけど、5月ぐらいにはいけるんじゃないか?
〈中畑清監督〉
彼は先発で出れば、1試合2、3本は打つから早いと思いますよ。ただ、先発出場は筒香らと三塁ポジション争いの絡みもあるから、ひょっとして時間が掛かるかも。ラミちゃんは、本当は昨年達成できたが、本人から「打率を優先したい。2000本安打は来季でいい」という申し出があったんです。
〈柴田勲〉
いずれにしてもあと7本だもんな。すぐだね。名球会では昨年、ブレザーを用意してたが、着るのは今年だ。ノリの分もそろそろ用意するんじゃないかな。
〈中畑清監督〉
今季は、打線のオーダーを考えるのが楽しい悩み。中軸は決まって来るだろうけど、その前後の格付けができたらいいんですけどね。
〈柴田勲〉
確かにそうだね。いつも戦力が有り余っているどっかの球団みたいなのは贅沢な悩み。でも、1人でもケガとか故障者が出るとガタガタになるんじゃ困るよね。その点、今季は少し余裕ができたんじゃないかな。
〈中畑清監督〉
そこまで言い切れません。ラミレスはいつも春先、調子が出ないんですよ。あんまり悪いようだったら、無理に出場はさせません。ノリを回すとかね。他にもいろいろありますよ。
〈柴田勲〉
内外野のポジション争いも激しいみたいだね。
〈中畑清監督〉
将来の主砲候補の筒香も、ようやく“ふた皮”ぐらい剥けたかな。実力で3塁・中村紀を退けるくらいの気概もチラホラ見え始めた。大いに期待したい。また二遊間、右翼もポジション争いが激しくなってます。右翼は、復帰の多村に金城(龍彦)、森本(稀哲)の三つ巴の戦いとなっている。二塁もまたし烈ですよ。故障・離脱する前の打撃を発揮できれば石川(雄洋)が優位だが、俊足の内村を優先的に使いたい気もする。現段階では甲乙つけがたい選手たちです。遊撃手も渡辺(直人)が攻守で信頼できますが、ケガが多いのが欠点。それがなければ、定位置が決まるんですけどね。
〈柴田勲〉
残るは投手陣ということですな。
〈中畑清監督〉
中日からきたソトの加入は大きいですよ。あの剛速球に、他の投手はビックリした。いい刺激になってますが、心配もありますね。ずっと寄りかかっていた三浦(大輔)、そして藤井(秀悟)の両ベテランが、去年と同じ成績(三浦9勝9敗、藤井7勝7敗)を残せるかという心配が、正直ありますね。ただ、ブランコ加入で得点能力が上がったことで、これまでのように打線の援護なしに泣かされた三浦や高崎(健太郎=7勝10敗)の白星が増える可能性も十分あります。それに期待の若手・国吉(佑樹)らもいるんで、層は厚くなってきています。
〈柴田勲〉
抑えも山口(俊)1人に頼ってたのが、ソーサが入ったことで充実した状況になった事は大きいね。
〈中畑清監督〉
とにかく、これだけのメンバーを揃えてもらったので、後は「勝」だけ。やるぜ! です。
〈柴田勲〉
マラソンの瀬古利彦氏の色紙にも「クライマックス・シリーズを目指そう」とある。頑張れDeNA、だな。
〈中畑清監督〉
新生ベイスターズの活躍を期待してください。
■柴田勲の目
1年前のような球界参入に浮かれたような雰囲気はもはやなかった。補強されたブランコやモーガン、投手のソトらの存在が、チームを引き締めている感じがする。
中畑監督も「1にも、2にも、投手の精度を高めることが一番。期待するのは投手」と言っていたが、去年は球団イメージを植え付けるためのリップサービスが目立った。だが、今年はスローガンの「勝」に込められた意図のように、はっきりと目標を掲げている。
12球団最低だった防御率の改善の起爆剤となるのは、中日から獲得したソトとソーサの両投手。他の投手にとって大きな刺激剤になっている。
不安材料を上げるとすれば先発陣か。
三浦と高崎を軸に、ソトの3枚が頼りで、残りを国吉、加賀美(希昇)やドラフト3位の井納(翔一)らで奪い合うだろう。
野手は他球団のスコアラーが警戒するほど選手層が厚くなった。
いずれにしても、5年連続最下位の汚名を返上し、クライマックス・シリーズ進出を狙う。正直なところ、他球団も底上げしているから、上位に食い込むのは厳しいかもしれない。
しかし、今年は中畑監督にとって2年目で契約最終年。その真価と意地をぜひ見せてもらいたい。