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「パ高セ低」元凶は粗製濫造本塁打野球の巨人

 ロッテ、オリックスが同じ日に「打者10人連続ヒット」の日本新記録を作るなど、交流戦でのパ・リーグ球団上位はますます強まっている。裏返せば、セ・リーグ球団の弱さが完全に露呈している。巨人びいきの評論家ですら「これでは、たとえ日本シリーズでセ・リーグが勝っても『実力のパ』は変わらない」と脱帽している。

 パが68勝45敗3分と23も貯金。セで一番勝っている巨人でさえ11勝9敗で6位、パ球団でその下にいるのは9勝9敗1分(成績はすべて8日現在)のソフトバンクだけだ。こういう情実抜きの数字を突きつけられれば、いくら巨人ヨイショの評論家でも弱いセ・リーグを認めざるを得ないだろう。
 そのダメなセ・リーグの元凶は、巨人のお家芸、東京ドームでの粗製濫造本塁打野球だ。楽天が球団史上初の1試合6本塁打記録を作ったように、東京ドームでのホームランなど、インチキに近い。打った楽天の選手が「マジッ? 入ったの?」と驚いているのだから、どれほどひどいか、わかるだろう。阿部に左翼席最前列に3ランを打たれた、マー君こと楽天・田中将大は、「阿部さんの打球がスタンドに入るのは東京ドームの特徴ですから」と冷静に語っている。狭い球場と飛ぶボールによる、東京ドーム特製の本塁打を見下しているのだ。だからショックを受けることもなく、その後はピタリと抑え、勝ち投手になっている。
 巨人の東京ドームでの粗製濫造本塁打野球に戦々恐々とするセ・リーグ5球団とは大違いだ。強いパ・リーグを象徴するような田中の名言だろう。が、このまま巨人の一発野球を放置しておけば、「パ高セ低」格差が進むだけで、「メジャーリーグ・パ、マイナーリーグ・セ」になってしまう。早急に巨人の粗製濫造本塁打野球を改善する必要がある。事は簡単だ。
 来季から「1つのメーカーによるボール統一を」目指しているプロ野球界なのだから、大リーグ球のような飛ばないボールに統一すればいい。今さら東京ドームはじめセの狭い球場を広くできるわけがないのだから、飛ばないボールでインチキホームランを激減させればいいのだ。

 日米野球や五輪、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)など国際試合で大リーグのボールを使用してきた際には必ず選手から「ボールが重くて飛ばない」という声が出ている。世界の王さん、ソフトバンク・王貞治球団会長も、監督時代から東京ドームホームランの弊害と、大リーグボール使用の効用を説いてきている。
 「東京ドームでは、こすってもホームランになってしまう。これでは良い投手は育たない。一回り大きく、重くて飛ばない大リーグのボールを使えば、国際試合でも違和感がなくなり、一石二鳥だろう」と。
 コスタリカで作っている大リーグボールに関しては、粗製濫造で1球1球にバラツキがあり、滑ると悪評紛々だ。「大リーグ球仕様にするということは、優秀な日本のボールをやめて、悪いボールを作れということか」と反論する球界関係者がいるが、そんなことを言っているワケではない。
 日本最大のスポーツ・メーカーは、これまで「飛ぶボール」をセールスポイントにして、ほとんどの球団とボール契約をしている。が、今は飛ばないボールを作ることが求められている時代なのだ。「ボールの反発係数は決まっており、厳しい検査をしているので、飛ぶボールなどない」というのが、日本プロ野球組織(NPB)の公式見解だが、建前に過ぎない。

 実際のどの球団もその時々のチーム事情で飛ぶボールと、飛ばないボールを使い分けてきている。狭いナゴヤ球場から広いナゴヤドームに変わった時の中日なども「球場が広くなったのだから、守りの野球をやる」という方針の下に、飛ばないボールを導入した。当時の巨人・長嶋茂雄監督(現終身名誉監督)は、「本当にここのボールは飛ばないね。鉛でも入っているんじゃないの?」という名言を残しているほどだ。が、あまりにも飛ばないボールの影響で恐竜打線がピストルに成り下がり、嫌気のさした中日・星野仙一監督が数年で元の飛ぶボールに戻したという後日談まである。
 福岡ドーム、札幌ドーム、仙台など広い球場のパ・リーグならば、飛ぶボールでもさほど投手には被害がない。が、東京ドーム、神宮、横浜スタジアムなど狭い、箱庭のような球場では、飛ぶボールは投手にとって致命傷になる。だからパ・リーグのようなダルビッシュ、岩隈、田中、杉内、涌井のような日本代表エースクラスの実力派投手が出てこない。4年目の広島・前田がようやく出てきたが、狭い広島市民球場から広いマツダスタジアムに本拠地が変わったのと無関係ではないだろう。

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