日本でも鳥インフルエンザの本格的な蔓延が起きつつある。12月3日には長野県安曇野市でも衰弱した野生のコハクチョウが発見され、陽性反応が出ている。
インフルエンザウイルスはA型、B型、C型の三つの型があり、鳥インフルエンザはA型に当てはまる。A型はさらにH1〜H16の亜型とN1〜N9の亜型があり、組み合わせると144種類。中でもニワトリなどに感染する高病原性鳥インフルエンザウイルスは、H7型と今回のH5型だ。
「通常は、鳥に感染するウイルスと人間に感染するウイルスは異なり、日本国内でも人間に感染した例はない。厚労省でもそれを強調しているが、やはり怖いのはウイルスが変異して鳥から人へ、さらに人から人へ感染しパンデミック(世界的流行)状態になることです」(サイエンスライター)
人間に感染した場合はどうなるのか。「おそらくH5N6型の鳥インフルエンザウイルスは日本中の家禽類に蔓延する」と予測する元小樽市保険所所長の外岡立人氏は、自身の「鳥インフルエンザ直近情報」というホームページの中で、こう警鐘を鳴らしている。
《H5N6は人に感染すると高率に死に追いやることはマスコミは伝えていない。“通常は感染しない”などと意味不明のタイトルを出す新聞もある。2014年以来、2年弱で中国香港で十数名の感染者と死者が出ていて、つい先日11月21日に中国湖南省で農業に従事している女性が感染して死亡している》
今回の感染源は、その中国やシベリアから越冬のために飛来している渡り鳥とされ、運ばれたH5N6型は人間に感染し、さらに死に追いやるというのだ。
山梨医科大名誉教授の田村康二氏もこう言う。
「豚インフルが流行した際に渡米した時は、検疫で異常なまでに調べられましたよ。日本と違い向こうには、人間に感染するというデータがあったのでしょう。鳥インフルも人間にはうつらないことになっていますが、私はそうは思いません」
有効なワクチンがないだけに、人に感染したら“死病”になる可能性だってあるのだ。