高野連関係者が言う。
「高橋純平(県岐阜商=3年)が県予選で敗れたと聞かされたとき、甲子園球場の観客数が伸び悩むのではないかと心配されましたが、スーパー1年生・清宮の出現で救われました」
しかし、一連のフィーバーぶりが、プロゴルファー石川遼(23)に酷似しているため、今後の“急激な失速”を懸念する声もある。
「石川も、アマチュア枠でツアーに初出場し、史上最年少優勝を達成した'07年、男子ゴルフ関係者やメディアは“救世主”として大々的に取り上げた。このとき、清宮と同じ16歳の高校生でしたが、環境が激変。練習や私生活までマスコミに追われ、CMや用品契約にまつわる巨額のカネが動き、次第にストレスが蓄積されていったのです」(ゴルフ専門誌記者)
当時は女子プロゴルフブームで、男子のスター候補は待ちに待った存在だったからだ。しかし、石川は早熟な天才の宿命ともいえるプレッシャーに押しつぶされ、年齢を重ねるにつれて優勝から遠のき、同級生のライバル・松山英樹に追い抜かれて水を開けられる一方である。
清宮には決して同じ道を歩んでほしくないが、現在、彼が置かれている状況は、当時の石川とあまりにも酷似している。
石川が全国区のニューヒーローとして爆発的な人気となった際、すでにアマチュア大会では何度も優勝しており、マニアには知られた存在だった。かたや清宮も、リトルリーグ時代に世界大会での優勝を経験。「知る人ぞ知る」の存在から一気にスターダムに上り詰めた経緯はそっくり。
また、マスコミ対応などの冷静さも瓜二つだという。清宮を追っているスポーツ紙記者の話。
「初戦後、本塁打を打てなかった清宮は、『期待に応えられなくてすいません』とコメントしました。『まるでプロだな』と驚いた」
一方、前出のゴルフ専門誌記者もこう語るのだ。
「一気にブレイクした石川でしたが、われわれマスコミへの応対でも、ベテランのプロゴルファーより丁寧な言葉遣いをするほどでした。トイレを利用すると洗面場を掃除してから出てくるなど礼儀も正しく、親の指導が行き届いていると驚いたものです」
この“親の指導”という点でも、両者は共通している。幼少期から石川を指導していたのは実父で、しつけの範疇である礼儀作法はもとより、ゴルフの技術面から食事などの生活面までフルサポートしていた。清宮も、ラグビー日本代表の元選手で、現在はトップリーグで監督を務める父・克幸さんの指導のもと、体作りから始めている。
こうした環境で育った2人は謙虚で、“先輩に可愛がられる才能”も持ち合わせているという。
「清宮は、同校野球部主将の加藤雅樹捕手から可愛がられている。加藤も1年生から試合に出ていて、グラウンド外での気苦労も多かったのでしょう。加藤の方から清宮にいろいろと話し掛けていますよ」(前出のスポーツ紙記者)
早実の大先輩である王貞治ソフトバンク球団会長も、「みんなで育ててあげて」と気に掛けているほどだ。