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競輪人国記 岐阜(5) 小柄でもうまさと切れでまだまだ健在の山口兄弟

 なにをやらせても、一流になるのではないか、と思わせるのが山口幸二(岐阜・62期)。体は細いがパワーの固まり。40歳になった今も、差し脚は鋭いし、コースの突きかたもうまい。

 高校時代は野球をやっていた。自転車に乗り始めてすぐに才能を現し、競輪学校では61勝をあげて6位に食い込んでいる。追い込みにかわってから10年目、山口にチャンスが巡ってきた。
 中部地区の一宮オールスターで一丸安貴(愛知)馬淵紀明(愛知)に乗って直線追い込んで優勝。なんと完全制覇だった。
 この年は山口にとっても最高の年。同じ大垣バンクの練習仲間・山田裕仁(61期)が絶好調の年だった。オールスターをとってグランプリ出場の権利を得た山口は、6番車だったが、「優勝しますよ」と公言。公開練習ではガッツポーズの練習をしているほどだったが、実際に本番・立川グランプリでは山田の先行に乗って神山雄一郎(栃木)のまくり追い込みを抑えて優勝してしまった。その後は落車、失格も多く(落車49回、失格19回)GI獲りのチャンスはない。
 昨年暮れに選手会の岐阜支部長になってからは、競輪祭(2)(3)(2)(4)、静岡日本選手権(1)(1)(2)(5)と優参してチャンスがあれば、GI制覇をものにしてしまうのではないかと思わせる出来だ。獲得賞金も9億5千万円。この調子なら今年中に10億の大台に乗ってしまうのではないか。
 幸二の弟富生(68期)は兄より小柄で競輪学校入りも2つ違いの兄に比べると遅れたが、02年の高松宮記念杯では(2)(2)(2)で優参して山田裕仁にマーク、伏見俊昭(福島)をまくった山田を追い込んで初タイトルを獲った。まったく山口兄弟は山田には「足を向けて眠れない」感じだが、それだけ大垣勢の結束は堅いというところだろう。
 富生は調子が上がると落車、失格してしまうアクシデントにここ2、3年は遭っているが、差し脚の鋭さは兄以上。ただ展開の読みが兄ほどではない。番手よりも3番手のほうがいいタイプだし、ラインの後ろにこだわるよりも、直線で中を割るレースのほうが、持ち味は活きる。
 最近は成績も上昇気味で、高知GIIIでは小野俊之(大分)の2着と着実だ。また熊本では吉田敏洋(愛知)の先行を使って平原康多(埼玉)のまくりを抑えている。
 中部の追い込みは義理堅く、若手先行の後ろを必ずつくだけに、叩かれてインに詰まるケースもあるが、本来はまくり差しが得意な富生だけに、細切れ戦は勝負になる。2度目のGI制覇の可能性も十分。競輪選手としては小柄な山口兄弟だがうまさと切れで、まだまだ勝負出来るはずだ。

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