秋の花粉症というのは、春の花粉症の元がスギ、ヒノキといった樹木の花粉であるのと違って、身近な草木(ヨモギ、ブタクサ、カモガヤなど)が影響する。
だが、それよりも深刻で厄介なのが、ダニの死骸と糞(ふん)などの浮遊物によるアレルギー反応だ。
「10月に入ると、夏に大量繁殖した家庭内のダニの寿命が終わって、ダニの死骸や糞などの“ハウスダスト”が他の季節より増えるのです。秋晴れの日には、窓を開けて、ダニ糞などを一掃するお掃除を徹底しましょう」
こう語るのは横浜で内科・アレルギー科クリニックを開業する小山いとこ院長。高温多湿を好むダニの死骸などのハウスダスト一掃を強く提唱する。
小山院長によると、家庭内のダニといっても、アルゲン(アレルギー反応を起こす物質)になるのは人を刺すダニではない。体は半透明で肉眼ではほとんどわからない(約0.3ミリ)ヒョウダニと呼ぶ“チリダニ”のことを指す。
このダニは6月ごろから盛んに繁殖して、卵、幼虫、若虫、成虫となる。その間は約3週間で、成虫の生存期間は2〜3カ月とされ、死後も影響を与える。
ゆえに秋にアルゲンとなるのは、生きているダニよりチリダニの死骸や脱皮の殻、糞の方が問題になる。いずれも乾燥しているので細かく砕けやすく、粉状の破片となって室内を浮遊する。人は呼吸する度に、これらにカビの胞子などの細菌が加わった浮遊物を吸い込み、体内に取り込んでしまうのだ。
とくにダニの糞はアレルギー活性が高く、アレルギー反応をかなり速やかに進行させる。喘息や鼻炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎などが発生しやすいといわれる。以下は、その病気について。
「アレルギー喘息」になると咳が激しく出たり、呼吸が苦しくなる。喘息独特のヒューヒュー、ゼーゼーの呼吸音が出るのが特徴。
「アレルギー性鼻炎」は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの風邪のような症状が出る。鼻を強くかみ過ぎたりすると、中耳炎など耳の疾患を引き起こすので、交互にやさしくかむことだ。
また、「アレルギー性皮膚炎」になると、皮膚に湿疹や炎症が発生、かゆみと赤い斑点ができる。小児に多いアトピー性皮膚炎もアレルギー性皮膚炎の一種と考えられている。
さらに、「アレルギー性結膜炎」は白目の部分が充血し、目が赤く腫れたり、かゆみが出たりする。中には目ヤニや涙が止まらないといったダニアレルギー特有の症状が出たりする。