この計画が明らかになると同社株は急騰。ところが「EVとしては世界最大規模の生産拠点」との触れ込みにもかかわらず、米国系証券のアナリストは「大バクチ」と冷ややかだ。
理由は二つ。一つはテスラ自体が'03年設立のベンチャー企業で、昨年の販売台数が約2万台にすぎず、まだまだ販売力では見劣りすること。今年は3万5000台の目標を掲げるが、EVでは先行する日産の『リーフ』でさえ、世界累計でやっと10万台に届いたばかりである。
「EVは原価に占める電池の割合が高い。もしテスラの販売が絶好調ならば、パナの見返りは大きくなる。ビジネスだからこれ自体は結構ですが、そうなると逆にパナのテスラ依存度が飛躍的に高まり、新興企業に首根っこを押さえ込まれかねない。これが二つ目の理由です」(同・アナリスト)
テスラには野心的な計画がある。今回のパナソニックとの電池工場とは別に、2020年までに年間50万台のEVを生産する巨大工場を建設するとの構想だ。
「タッグ成功ならズルズルと深入りする。成果が上がらなければ『今度は大丈夫』と持ち掛けられる。どう転んでもパナは大枚を拠出するハメになります。テスラ首脳は『いいカモをつかんだ』とホクソ笑んでいるに違いありません」(同)
本業の電機機器で挫折を繰り返したパナソニックは今、自動車と住宅関連事業を将来の成長戦略の柱に据えている。しかし、全くの畑違いとあって絶えず失敗リスクが付きまとう。
“大バクチに走ったパナソニックが身売り!”−−。そんなことが現実に起こるかもしれない。