11年目の交流戦はまたもや、セ・リーグの完敗だった(44勝61敗3分け)。セで勝ち越したのは10勝8敗の阪神だけで、首位争いを演じていた巨人と横浜DeNAは仲良く11、12位というブザマさ。その結果、ペナントレースはさらに混戦を深めた。
「交流戦を苦手としていた広島が9勝9敗の5割で乗り切ったのは大きい。昨季は開幕ダッシュに成功しても、交流戦で負け越してしまい、結果、巨人に優勝をさらわれました。徐々にだが、広島が本来のスタイルを取り戻しつつある」(スポーツライター・飯山満氏)
広島は「借金5」の5位だが、首位巨人との差はわずか3ゲーム(22日時点)。直接対決で叩けば、一気に首位戦線に浮上できるところまで盛り返した。
「原監督も広島カープを意識しつつあります。先発ローテーションによる巡り合わせとはいえ、黒田との対決が一度もないセ球団は、巨人だけなので」(スポーツ紙記者)
黒田博樹(40)はここまで6勝を挙げ、ハーラー2位タイ。防御率も2.61の好成績を残している。
その黒田とまだ直接対決のないブキミさが、巨人を精神的に追い詰めているようだ。しかし、黒田対策として、“禁断の采配”があった。原監督は昨季のリーグ優勝指揮官として、オールスターゲームの采配を振るう。原監督次第で、黒田のローテーションをいくらでも狂わすことができるのだ。
話は1カ月ほど前にさかのぼる。NPBは球宴の投票などを説明するPRイベントを開催(5月14日)。そこで雛壇に上がった原監督はパ・リーグの指揮を執る工藤公康監督と“舌戦”を繰り広げたが、気持ちが高揚したのか黒田を指して、意味シンなセリフを残している。
「(黒田が)投げるのは自分も楽しみ。監督としての持論で行くかどうか…」
“持論”とは、オールスターゲームの第1戦はファン投票で選ばれた選手を起用するというもの。投票開始以来、セ・リーグ先発投手部門で1位を独走しているのは黒田。この時点で“侠気投手”の選出が予想され、原監督が持論を貫いた場合、黒田は第1戦の先発となる。
今年の球宴は2試合のみ。第1戦(7月17日)は東京ドームで行われ、2戦目(同18日)の舞台は広島の本拠地・マツダスタジアムだ。黒田を第2戦の先発で使うとなれば、投票したファンに申し訳ないと思うのが原監督の考え方だが、今年も各ポジションで投票1位を争っているのは広島勢なのだ。黒田だけを第2戦に温存するのは不自然であり、そうなると、投票1位以下の監督推薦、選手間推薦で選出された“ジミどころばかり”となる。