もともと演技力が危なっかしい俳優なのだが、中ヒットした「デトロイト・メタル・シティ」などでのハデなコスプレがうけ、次々と主演が続いてしまった松山ケンイチ。昨年は興行的には振るわなかったが、やっとまともな演技をしていた「ウルトラミラクルラブストーリー」と、両方ともストーリーが訳わかんなかった娯楽作「カムイ外伝」と「カイジ 人生逆転ゲーム」の3本ほど大きな役で映画に出演。コーラや携帯電話、文庫本などしつこいぐらいCMでも見かけた。しかし、今年はどうだろう? 夏からのCMはもとより、映画PRなどでのテレビ露出もゼロ。その他アノ女優との恋愛の話題さえも控えめだ。かつての勢いは影を潜め、今や市原隼人や佐藤健に若手俳優トップのポジションは奪われたかに見える。
そんな松山ケンイチ、実は今年の春に「誰かが私にキスをした」(ハンス・カノーザ:監督)という映画で堀北真希とW主演した映画が公開されている。しかし、あまり注目されなかった。公開当初は「ダレンシャン」など他に目立つ作品が多く、記者も(一応マツケンウォッチャーであるのに!)結局見るのを忘れてしまった。なぜこの映画が他より埋もれたかというと、いままで松山ケンイチは映画公開のたんびにバラエティ番組やトーク番組に出演して告知していたのだが、学生が春休み期間だったこの時期、マツケンはノルウェイで撮影でもしていたのかほとんどテレビ露出しなかった。実は彼がテレビで“素”を曝す事は、他のなによりも映画のPRになっていたのだ。テレビでマツケンが告知しなかった「誰かが私にキスをした」は、松山ケンイチ出演作として誰の頭にも残らず、不発な結果に終わった。それにしても、昨年11月に「笑う警官」という映画にカメオ出演した時もほとんど話題にならず、その時点で松山ケンイチの需要が無くなっていた予兆だったのか。そしてこの秋公開の話題作「ノルウェイの森」も、注目のヒロイン直子役、菊地凛子は実力はあるが人気はいまいちで客が呼びづらい女優だし、メガフォンを取るるトライ・アン・ユン監督も、「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」などで知られる極度な難解好き。これらの人のせいで妙に作品のハードルが上がり、おそらく松山ファンが期待する大衆的な映画にはならないと予測できる。ますますマツケンの行く末は危ぶまれるのだ。
来年は嵐の二宮和也とW主演する映画「GANTZ」(前後編2部作)が正月に公開予定の松山ケンイチ。この秋TBS開局60周年記念作品 「JAPANESE AMERICANS」という5夜連続ドラマでは橋田壽賀子脚本作品に挑戦。橋田ファミリーになって生き残りを図るか。(コアラみどり)