星野氏といえば、いまだ北京五輪での“ショッパイ采配”が記憶に新しいところだが、そんな男が今、政界で引っ張りだこになっているという。
「確かに北京五輪での采配はひどいものでした。結果、国民的といってもよかった人気も一時は急落しました。しかし、完敗した後の『敗軍の将、兵を語らず』の姿勢が抜群だった。これで国民は(星野氏への)不満をすべて水に流せた。今でも衆院選候補としては目玉になりえますよ」と語るのは永田町関係者。
星野氏の政界進出といえば、過去何度も話題に上っては立ち消えになってきた。「生まれ故郷である岡山では、なにかしらの選挙があるごとに星野氏の名前が挙がるのが恒例になっています。それだけ待望論はありますね。地元に限っていえば『どんな選挙でも当選する』とも言われています」(内政に詳しいジャーナリスト)
人気者だけに、球界からの完全引退がウワサされるたびに「政界進出」が取りざたされてきた。結局ここまでどのような選挙でも出馬は実現せず、中日→阪神→日本代表と監督としてステップアップしてきた星野氏だったが、自身も「かつては『球界にいなければ、バッジをつける仕事をしていたかもしれん』と言ってはばからない時期もありました。ここ数年は『政治なんてオレに向いとらんのや』とモチベーションが下がっているようでしたが、政治家という仕事が嫌いなわけではないはずです」(スポーツ紙野球担当記者)という。
現在でも、日本テレビ系ニュース番組「ZERO」などにたびたび生出演し、野球やスポーツ以外の事件、諸問題にまで的確で誠実さのにじみ出るコメントをする姿が国民へのアピールにもなっている。しかし、自民、民主など政党がこぞって星野氏を担ぎたがるのは、何も星野氏の人柄や人気によるものだけではないという。
「実は星野氏の持つ人脈をほしがっているんです」と明かすのは前出・永田町関係者。「民主は攻勢のように見えますが、地盤がぜい弱な選挙区も多く、また目玉候補といえばほかならぬ党代表の小沢一郎くらいのもの。他にはまったくいないといっても過言ではありません。公明の組織票頼みの自民党はさらに切実で、別筋の票田がのどから手が出るほどほしいところなんです」という。“有力バック”の付いた目玉級候補となれば、担ぎたくなるのは納得できるが、星野氏の後ろ立てはそれほど強力なのか。前出・ジャーナリストが解説する。
「財界では昔から『ジジイ転がし』の異名を取る、取り入り上手で知られています。その人脈、いや金脈と言い換えてもいいのですが、彼がひと声『出る』といえば、公認政党ごと面倒を見てくれるような企業もあるでしょうね。あとはやはり、芸能人をはじめとする著名人とのパイプの多さ。もし出れば硬軟織り交ぜた有名人が応援演説に立ち、政党のアピールになること間違いなしです。また、テレビなどメディアとの関係も深いですから、ニュースで取り上げてくれる回数も多くなるはずです」
出馬が決まればこれほど“おまけ”の多い候補もいないということだ。肝心の星野氏本人の意向はまったく見えてこないが、前述の野球担当記者は「WBC監督辞退で今度こそ完全に球界を引退する可能性は高い。政界進出はかつてウワサが出た、どのタイミングよりあり得る」と読む。
星野氏の次のユニホームは「ダブルのスーツ」となるのか、注目だ。