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来春歌舞伎座オープンで松竹大幅利益増 不安要素は名古屋・御園座の再建計画

 長らく経営が低迷していた松竹が、ようやく蘇ろうとしている。
 建て替えていた歌舞伎座が来年4月に完成。来秋まで柿落し公演が続き、歌舞伎興行だけで「20億円程度の増益が期待できそう」(関係者)という。

 さらに、もうひとつの収益の柱である賃貸収入も見込める。
 29階建てのオフィスビルも併設し、夏までには23の全フロアが埋まるという。これが5億から10億円の利益を押し上げる要因になりそうだ。

 歌舞伎座の興行と同新ビルでの不動産収入の大幅増加によって、松竹の決算は将来的に大幅に上向く。
 もっとも'13年2月期決算は売り上げ830億円、経常利益5億3000万円、純利益が1億4000万円とやや厳しい。
 「市川猿翁、猿之助、中車らの襲名興行が歌舞伎座ビル閉鎖期間の低迷を救った」(女性誌編集記者)

 だが、来年は映画にも期待が持てる。『渾身』『ひまわりと子犬の7日間』などが待機中だ。
 そして、歌舞伎座とそのビルがオープンしてからはがらりと環境も変わる。'14年2月期になると売り上げが930億円、経常利益で25億円、純利益が15億円となりそうだ。

 ただし、不安要素は残っている。迫本淳一社長の悩みのタネである債務超過に陥っている名古屋・御園座の再建だ。
 「松竹は御園座の3%の株を保有する大株主。御園座は9月末に松竹との業務提携を発表したが、現実としていまの松竹は御園座を救えるほど楽な状況ではない。歌舞伎役者を派遣する程度で限界がある」(歌舞伎界事情通)

 松竹はいま830億円の有利子負債を抱えている(利益剰余金は10億円)。
 東宝のように不動産収入を回して高利益をあげる体質ではなく、いくら決算が良くなっても課題は山積みだ。
(編集長・黒川誠一)

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