やはり、まずその筆頭格に挙げられるのが新海監督だろう。同氏は現在46歳。宮崎監督が78歳ということを考えれば、あと20〜30年は第一線で走れるのではないか。だが一方で、死角もある。『君の名は。』では頭1つ抜けたが、それまでの志向としてはマイナー作品が多数。興行的に完全に失敗だった作品もある。さらに今回の『天気の子』も、“世に問う”的なもの。子どもからお年寄りまで幅広い世代の心をつかんできた宮崎監督とは、一線を画している。
先月21日公開されたアニメ長編『きみと、波にのれたら』。メガホンを取ったのは湯浅政明監督。湯浅監督といえば2017年、映像化が難しいとされた森見登美彦の同名小説『夜は短し歩けよ乙女』をスクリーンに乗せたが、難解な作品をさらに難解にしたという一部批判もあった。だが、この『きみと---』は、同氏ならではの爽やかさな持ち味は残しつつ、素直なストーリー運びが注目を集めた。今後、どう大化けするのだろうか。
2009年『サマーウォーズ』、2012年『おおかみこどもの雨と雪』、さらに『バケモノの子』で58億円の大ヒットを記録、新海監督と双璧をなしていた感のある細田守監督。だが、昨年の『未来のミライ』の興行収入が、『バケモノ−−』から40%減というまさかの事態に。「こんな映画だと思わなかった」と良くも悪くも驚きのリアクションで迎えられた。どう挽回するのか。
ジブリイズムを継承しているのが米林宏昌監督。2010年公開の『借りぐらしのアリエッティ』で歴代最年少監督に就任。 その勢いで2014年に18年勤めたジブリを退社し、翌年独立した。だが、在籍最後となった『思い出のマーニー』を失敗作とする識者が続出。2017年『メアリと魔女の花』でなんとか面目を保ったものの、以来長編は手掛けていない。
ここまで各監督を挙げてきたが、日本のアニメ映画=ジブリというイメージはいずれも崩すことができていない。そんな中、宮崎駿監督が一度引退宣言したものの、新作『君たちはどう生きるか』を手掛けることが明らかになった。彼の天下はいつまで続くのだろうか。そして、直近のアニメ界の話題は、何より『けいおん!』などで知られる京都アニメーション火災だろう。未来を担う気鋭のアニメーターたちの志が失われたことの損失は計り知れないが、表現することを恐れず切磋琢磨してほしい。