「タクシー業界は今年1月の法改正(「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の一部を改正する法律」)の4月1日からの導入に、消費増税による値上げが加わり“500円タクシー”“5000円超半額”などの格安サービスが縮小され、それが利用者離れを加速させている状況です」(経済ジャーナリスト)
一連の低価格・割引サービスは、小泉内閣時代の規制緩和策の一環として導入された。しかし、これがタクシー会社間の競争激化を生み業界のマイナスに作用しているとして、見直しにつながった経緯がある。
なんばで客待ち中の運転手はこう嘆く。
「行き過ぎた規制緩和と言うが、長距離割引ぐらいのサービスをせんことには乗ってもらえない。個人タクシーなんかはモロに影響を受けてると思いますよ」
そんな中、低価格タクシーの本家・エムケイ(京都市)は、4月1日付けの『MK新聞』で法改正による強制値上げをあえて見送り、「消費税増税分のみを運賃に転嫁する」ことを明らかにした。これにより同社のタクシー運賃は、京都市内では法定価格を下回る初乗り600円(2キロまで)で走っている。
これは事実上の“違法運賃”だが、これについても同社は『MK新聞』で「資本主義社会の原点を逸脱して利用者に負担を強いることが理解できません」とした上で「国からの指導や処分があるまでは」と、徹底抗戦の構えを見せている。
「この動きに追随し、いったんは取り下げた長距離割引を復活させ、初乗り料金も法定価格以下のタクシー会社や個人タクシーが増えているのです」(地元記者)
安全でさえあれば料金は安いに越したことはないが、何ともキナ臭い運賃競争。今後の成り行きに注目だ。