(46歳・水産仲卸業)
A:歯周病の人がインフルエンザに感染しやすいことは、日本大学の落合邦康特任教授のグループが報告しています。それによると、歯周病菌が作る酵素によって感染しやすくなるといいます。その酵素はウイルスが体内へ入るのを助けるようです。
ご質問の方の場合、糖尿病でもあるとのことですが、糖尿病があると感染症にかかりやすいことが分かっています。ですから、歯周病だけでなく、糖尿病によってもインフルエンザに感染しやすいわけです。
●糖尿病も感染リスクを高める
しかも、歯周病と糖尿病には深い関係があります。糖尿病の人は歯周病になりやすいし、歯周病が悪化しやすい傾向があります。また、歯周病は糖尿病を悪化させることが分かっています。
血糖値が良好に保たれると、歯周病もよい状態に保てます。歯周病が改善してくると、血糖値もよい状態が保たれます。
このように糖尿病と歯周病には深い関係があるのです。
歯周病の細菌は、この他にも関節リウマチ誤嚥性肺炎などとの関連が明らかになっていますし、アルツハイマー型認知症や心臓疾患、ウイルス性感染症、さらにアルコール性脂肪肝などとの関連も指摘されています。
また、糖尿病で血糖値が高い状態が続くと、白内障、糖尿病網膜症、糖尿病性腎症などの合併症を引き起こします。
基本は血糖値を正常範囲に保つことですが、歯周病についても定期的に歯科医院にかかり、よい状態に保つことが大事です。
そして、インフルエンザ予防のためには、歯をよく磨いて口腔内を清潔に保ちましょう。歯磨きは、起床後の何も飲食しないときと、就寝前に行うことが基本です。
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山田 晶氏(歯科医師)
骨盤療法(ペルピックセラピー)で著名。日本歯科大学卒業。歯科の領域から骨盤のゆがみに着目。骨盤のゆがみを自分で取る方法として、腰回しの普及に努めている。やまだ治療院顧問。