誰かが書いたシナリオによって、さよならも言わず突然姿を消した君、なんでどうして? もっと分かりあえたのに…。出だしはこんな感じでソフトに始まるが、曲中盤から「目には目を」とか「奪ったら奪い返す」など歌詞に激しさが増し、特にラップの部分は「ウザイって逃げるな! いいかげんにしろ!」などドサクサにまぎれて暴言を吐く、まるで過去のイジメをラップに込めたエミネムの歌みたいになっている東方神起の新曲『Why?』。品行方正の好青年だったのは今は昔。闘志むき出しの“怒りんぼキャラ”となってユンホとチャンミンは帰ってきた。もともとストイックだったリーダーのユンホ。歌もダンスもとにかくハイレベルだが、いつもピリピリしていてギャグを言うなどの面白みは少なかった。そんな彼について行った一番年下のチャンミン。気が強く若く純粋すぎるゆえ、年齢による上下関係の絆が強い韓国で“兄弟”とも言える年上メンバーに裏切られた憎しみは百倍。この二人が双子のごとく炎だらけのセットで激しく踊り狂う、ちょっと怖い『Why?』のPV。今さら日本仕様に大人しくする必要は無いのでKポップのもう一つの一面、「男臭いハード感」を徹底的に押し出してきた。それは生易しいハードでは無く、軍隊国家・韓国の規律をも感じさせるハードなスタイルだ。蛾みたいな柄の衣装も韓国人好みで、今後海外で活動する予定のJYJに「韓国にはもう帰って来るな!」と言っているみたいにも見える。
ご本人たち同様分裂し、ツィッターなどでJYJのファン同士でも足の引っ張り合いが繰り広げられている東方神起。この殺伐とした状態で人気がいつまで続くのか疑問だが、全然「蚊帳の外」の人向け見どころをひとつ。それは東方神起の一風変わったバックダンサーたち。もともといた金髪キノコ頭の人が振付師らしいが、モヒカン風あり、ボウズあり、ちょいぽっちゃりグラサンの横浜銀蠅風ありと実にバラエティに富んでいる。そして特筆すべきは、なぜか同じコーラスグループで東方神起とあまり仲が良くないと言われる、ゴスペラーズの村上てつや似の人がいる事だ。いつもグラサンを掛けている不細工マッチョ風(雑誌・テレビブロス上での愛称)の彼がなぜかユンホとチャンミンの曲を盛り上げている。何とも微笑ましい光景で、この先も日本人アーティストと仲良くやっていきたいというアピールなのだろうか。今後も注目である。(コダイユキエ)