金本知憲監督(49)が鳥谷敬(36)をセカンドにコンバートさせた。三塁手で始めた開幕オーダーに名を連ねた昨季、鳥谷はゴールデングラブ賞を獲得して見せた。打率もチームトップだった。今季も三塁手としてスタートするが、金本監督は突如、二塁へのコンバートを言い渡したのだ。
「好調な糸井嘉男が影響しているようです」(在阪記者)
現在の糸井は絶好調と言っていい。阪神キャンプを視察したライバル球団のスコアラーたちも警戒を強めており、金本監督は1番で固定する構想だという。
「1番糸井、4番ロサリオは決定でしょう。ロサリオの前後を福留孝介、中谷将大、そして2年目の大山悠輔らが固めることになりそうです」(同)
鳥谷と入れ代わってサードに回ったのが大山だ。昨秋キャンプから、大山はセカンドの守備練習しかやっていない。「二塁大山」は、打撃力の高い彼をスタメンで使うための「金本構想」でもあったが、ここへきて事情が変わってきたという。
「二塁はレギュラー争いの激戦区になっていました。昨季125試合に出た上本博紀、打撃が魅力の糸原健斗、そして、西岡剛が復帰しました。ショートには北條史也、新人の熊谷敬宥、4年目の植田海もいます。二遊間のレギュラーが決まっていない状態で、状況次第では糸原がショートに入るかもしれないし、高代延博作戦兼総合コーチは守備センスと走塁能力が高く、往年の赤星憲広氏を彷彿させると熊谷を評価しています」(ベテラン記者)
結果、レギュラー未定の二遊間から大山は外された。
一方、激戦区に放り込まれた鳥谷は必死。レギュラーも約束されていない。オープン戦で打ちまくらなければ、開幕戦はベンチからのスタートになるかもしれない。
「同じベテランの福留の使い方によって、鳥谷がどうなるかのヒントになりそう。金本監督は昨季、福留を休ませながら起用した。鳥谷の場合は、連続試合出場記録を更新中なので、完全休養はできないはずです」(球界関係者)
打撃面の話をすれば、鳥谷は1番か3番のタイプだ。しかし、3番は1発のある福留、大山、中谷を使うのが金本構想。1番は糸井で固まったとなれば、鳥谷は激戦区を勝ち抜いたとしても、下位打線に甘んじることになる。
「休ませながらの起用は、試合に出続けた鳥谷の調子を狂わせる。下位打線だと、モチベーションが上がらない。阪神の上層部には、将来の監督候補である鳥谷の勉強になるのなら、他球団の空気を吸わせるのもやぶさかではないという空気がある」(同)
手っ取り早く言えば、トレード要員となる。
金本監督は、1発のある選手が好みだ。鳥谷も不規則な試合出場を強いられるのなら、違う環境を求めるかもしれない。
強打の猛虎打線が、鳥谷の出番を奪ってしまう。