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新春スクープ 栗山構想すっぱ抜き 日ハム・大谷「二刀流」起用法モデルはあぶさんと金田正一

 前例のない「二刀流」育成法で日本ハムの沖縄キャンプは連日ドタバタが続いている。考案者であるはずの栗山英樹監督(51)も「頭がおかしくなりそう」と戸惑いを隠せない。
 一軍の名護球場からルーキー・大谷翔平(18)が練習する二軍の『くにがみ球場』(沖縄県国頭村)までは車で40分かかる。その間を栗山監督は往復し、何十人もの取材陣が後を追う。しかし、いざ球場にたどりついても、大谷のスケジュールが複雑で掌握できないのだ。
 「選手は野手と投手の2組に分かれ、野手が走塁や守備、打撃を行う時間帯に投手はピッチング練習をこなすわけですが、大谷は両方に組み込まれていることからそれぞれの間隙を突く形となり、殺人的タイムスケジュールなのです。それが夜間まで続く。新人選手は投手も野手も練習を終えるとぐったりなのに、大谷は両方こなす。しかも、初めてのキャンプ。どこで練習していいかがわからず戸惑っていると、『自分で(練習)メニューを見てこい』とコーチ陣に怒鳴られる始末。練習メニューが複雑すぎてコーチ陣も十分に掌握できていないのですから、大谷こそいい迷惑ですよ。そんなやりとりを見て栗山監督は『頭が痛くなりそう』と悲鳴を上げているのです」(日本ハム担当記者)

 栗山監督が思い描く「二刀流・大谷」の骨格は、キャンプ日程が進むうちに明瞭になってきた。当初、予想された「基本は先発投手、それ以外の試合は野手でスタメン」ではなく、「史上最強代打・大谷投手」にある。本誌が入手した情報によれば、モデルは「あぶさん」と「金田正一氏」だ。
 指導者経験ゼロにもかかわらず、就任1年目で日本ハムをリーグ優勝に導いた栗山監督が信奉するのが三原脩氏(故人)。数々の「三原魔術」を駆使し、巨人、西鉄、大洋、近鉄、ヤクルトで通算1687勝を記録した知将にして名将である。
 今キャンプに際しても、栗山監督は都内で三原氏の墓前に手を合わせ、大谷の二刀流成功を祈願している。
 戦前にも野口二郎、呉昌征、藤村富美男、川上哲治氏など二刀流選手がいるにはいたが、当時は選手層が薄く、戦力を補うための苦肉の策だった。

 戦術として初めて二刀流を編み出したのが近鉄監督時代の三原氏。1968年、永淵洋三投手(佐賀高→東芝)を二刀流として実戦起用し、デビュー戦となった4月16日の東映戦では代打本塁打すると、そのままマウンドへ送り勝利投手に仕立ててみせた。
 「二刀流というと、先発以外の試合では野手としてスタメン出場、といったスーパーマン的なフル稼働をイメージしがちですが、そんな無茶苦茶な形で起用したら故障は避けられない。永淵選手といえば、水島新司氏の漫画『あぶさん』の主人公・景浦安武のモデルになった選手で、代打が本業です。このあぶさんと国鉄、巨人でプロ野球史上唯一の通算400勝を達成した伝説の投手・金田正一氏を融合させるのが、栗山監督が思い描く大谷の二刀流像なのです」(栗山監督と親しいマスコミ関係者)

 現役時代の金田氏は先発以外の試合でも、勝ちゲームが見込めると、望んでリリーフ登板し、勝ち星を積み上げた。試合によっては5回途中まで好投し、勝利投手の権利をほぼ手中にしていた後輩投手を有無を言わせず降板させ、勝ち星を奪い取る荒行もあった。
 もっとも、そういう手荒い手法なしには万年お荷物球団だった国鉄スワローズで14年連続20勝、通算353勝(リリーフ登板132勝)を挙げる事はできなかった。
 「二刀流のモデルをあぶさんと金田氏の融合と説明したのは、栗山監督は吉川光夫、武田勝、ウルフ、ケッペル、木佐貫洋とともに大谷を先発で起用しつつ、それ以外の試合ではスタメン出場ではなく、ここ一番の場面で代打で起用する。そこで首尾よく成功して勝ち星が転がり込んできた場合にのみ、そのままマウンドに送りこみ、白星をゲットするか、守護神・武田久につなげる。失敗した場合は、試合展開に応じて田中賢介(海外FAでジャイアンツ移籍)が抜けて手薄になった遊撃、もしくは糸井嘉男(オリックスにトレード)が抜けた右翼守備につかせ、次回の打席で逆転白星を目指すという構図。つまり、代打の切り札である、あぶさんと白星ハンターのカネやんの役回りを同時に期待しているのです」(前出・同)

 今キャンプで栗山監督は大谷を「遊撃」に専念させ、外野練習から外しているが、それにも理由がある。故障明けなどを理由に遊撃手の金子誠、二塁手候補の二岡智宏、三塁手の小谷野栄一を二軍に送り込んでおり、大谷をレギュラー陣の中に入れて英才教育を施そうとしているのだ。
 「翔平は高校で外野をやっていたから外野守備はゼロでいい。できているものは放っておいていいというのが自分の考え。ショートができれば(内野は)どこでもできる」というのが栗山監督の育成方針。大谷も「見て学んでいろんな話を聞いて吸収したい」と、中学時代以来となる遊撃守備に意欲を見せている。

 大谷の野手デビューは2月10日の阪神との練習試合、投手デビューは17日の紅白戦が予定されているが、どのような二刀流に変身しているのか。
 西武・松坂大輔の1年目は16勝5敗、日ハム・ダルビッシュ有は5勝5敗、楽天・田中将大は11勝7敗だったが、二刀流「史上最強代打・大谷投手」は20勝を上回る可能性が十分ある。

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