レースはワイルドスナイパーがハナを切ったが、3角すぎで早々と脱落。代わってテイエムプリキュアが敢然とハナに立ち、一気に流れは速くなった。プリキュアをめぐり、混戦となった直線半ば。前を捕らえたのは同じアドマイヤでも1番人気のアドマイヤジュピタではなくアドマイヤモナークだった。
道中は後方待機。「位置取りは後ろでも気にならなかった」と安藤勝騎手は例によって末脚一本に勝負をかけた。だが、前が早く動いたせいもあり、ラスト100mでは先頭。追い込み届かずの競馬を繰り返していたモナークとしては経験の少ない展開に、鞍上は「早く先頭に立つと遊ぶところがあるのでヒヤッとした」と語ったが、それをしのぎ切ったあたりに、成長の跡が感じられる。
紆余曲折を経て奥手の血がようやく開花。明け7歳にして初の重賞制覇は父ドリームウェルにも産駒初のタイトルをもたらす結果となった。「距離はいくら延びても大丈夫だからね」混迷を極める春の天皇賞に、西から不気味な伏兵が名乗りを挙げた。