『進撃の巨人』第4巻、訓練兵時代の過去編で脇役をキャラ立ち

トレンド 2011年04月12日 15時30分

 諌山創が『別冊少年マガジン』(講談社)で連載中の人気マンガ『進撃の巨人』の第4巻が、4月8日に発売された。『進撃の巨人』は、人類が存亡を賭けて巨人と戦うサバイバル作品で、単行本の各巻が各々100万部、累計400万部を突破する話題作である。この巻はトロスト区奪還作戦の続き、訓練編時代の過去編、新たな方向性と盛りだくさんの内容であった。

 冒頭は前巻の続きのトロスト区奪還作戦である。巨人化した主人公エレン・イェーガーが巨人の破壊した壁の穴を岩で塞ぐ作戦であったが、巨人になったエレンは自我を失い、暴走する。人類は絶望的な戦いを強いられ、アルミン・アルレルトは必死でエレンに呼びかける。何故、危険な外の世界に出るのかというエレンの内面の葛藤がポイントとなるが、エレンの精神的成長よりも、諦めることなくエレンの心に響くように工夫して呼びかけ続けたアルミンの努力に負うところが大きい。

 前巻までで、エレンには巨人化という他の人間にはない圧倒的な能力を持っていることが確認された。主人公が圧倒的な能力を有することは漫画の定番設定であるが、主人公だけが活躍して他のキャラクターが空気となってしまう危険がある。

 しかし、『進撃の巨人』では巨人化したエレンは暴走し、エレンに呼びかけ続けたアルミンや、巨人を引き付けて犠牲になった多数の兵士が存在しなければ窮地を脱することができなかった。現時点のエレンは完全無欠なカッコいいヒーローではないが、主人公一人で何もかも解決するよりも物語としては精緻である。

 壁の穴を岩で塞ぐ作戦の終了後、物語は小休止して訓練兵時代にさかのぼる。この過去編ではジャン・キルシュタインやアニ・レオンハートら同期兵士の性格を掘り下げている。たとえば過去に食糧庫から肉を盗んだサシャ・ブラウスは、訓練中にも芋を食べる食いしん坊キャラで、殺伐した物語の中で貴重なギャグ担当になっている。

 この訓練兵時代の過去編ではエレンの非凡さも明らかになるが、その演出が巧みである。上位の成績で訓練兵団を卒業するエレンも、立体機動装置の最初の訓練では劣等生で、兵士としての適性がないと酷評されるほどであった。しかし、努力して上達したというような王道パターンではなく、意外な理由が明らかになる。

 過去編からの切り替えも巧妙である。「内地で安全な生活を送りたい」という小市民的な理由から憲兵団を志願していたジャンであったが、同期の兵士から自らの適性について冷静な意見を聞かされる。話が巨人の襲撃後に戻り、その兵士の変わり果てた姿を見たジャンは、巨人と直接戦う危険な調査兵団入りを決意した。

 最後は『週刊少年マガジン』に掲載された特別編『リヴァイ兵士長』の主役・リヴァイ兵士長が本編に絡む方向性を示して終わる。「人類最強の戦士」と呼ばれるリヴァイ兵士長と共に巨人への反撃が進むのか、展開が注目される。
(林田力)

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