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パナソニック「一芸入社」導入の危うさ

 2年連続で7000億円超の赤字に塗れ、電機業界では「負け組」の烙印を押されてきたパナソニックが“一芸入社”を打ち出した。亜細亜大学など一部の大学が特異な才能を評価して一芸入試を行っているが、パナが実施するのはこれの入社試験版。通常の選考とは別に特定分野に秀でた人材を積極的に評価する制度で、現在の大学3年生など2015年春に入社する新卒者の採用試験から実施する。この導入に併せて同社は、今年春入社内定者(350人)の2倍に当たる700人を採用するという。
 「日本を代表する企業は学業の成績が優秀な若者ばかりを採用してきた。結果、金太郎飴みたいな社員だけになり、バブル崩壊後の長期不況に対応できなかった。その反省から津賀一宏社長は、ライバルに先んじて型破りな人材の採用に舵を切ったということでしょう」(パナソニックOB)

 問題は、異能な才を持つ学生が採用された場合、配属先が従来の優等生ばかりではせっかくの才能が生かされず、逆に孤立しかねないことだ。
 「強烈な個性を持った奇人変人タイプが殺到し、面接試験に当たるエリート社員がカルチャーショックを受けることも考えられます」(経済記者)

 これとは別に、パナは「チャレンジ選考」として、住宅や自動車関連など将来の基幹分野に位置づけている部門に意欲を燃やす学生の採用も積極的に実施する考え。しかし、前出のパナOBは「短時間でそれを見抜くだけの眼力ある社員がどれだけいるか怪しい限り」と斬って捨てる。

 同社は苛烈リストラで大量の社員を退職に追い込んだ。業績回復の手応えも、その産物にほかならず、関係者からは「一芸入社は単なる客寄せパンダ」とのブーイングが漏れている。

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