「目下、ハリルジャパンはワールドカップ・ロシア大会出場に向け、アジア最終予選を戦っています。2戦目で勝利したものの、黒星スタートとなったUAE戦の“悪夢”を引きずっています」(スポーツ紙記者)
UAE戦の“悪夢”とは、幻の同点ゴールのことだ。VTRを見る限り、完全にゴールラインを割っていた。日本サッカー協会の田嶋幸三会長は「国際サッカー連盟とアジアサッカー連盟に厳重抗議する」と憤っていた。だが、この“正義の訴え”が自らの首を締めることにもなりかねないのだ。
「サッカーにVTR判定はありませんが、ハイスピードカメラか磁気センサーを設置し、ボールがゴールラインを割っていたか否かを確認する『GLT(ゴールラインテクノロジー)』と、『AAR(追加副審)』の方法が検討されているのです」(専門誌記者)
思い当たる発言もあった。UAE戦後、本田圭佑が「なぜ第4審判がいないのか」とこぼしていた。サッカーの審判は3人。アクシデントに備え、4人目の審判が控えている。本田の言う第4審判とは、その控え審判ではなく、AARを指していた。これはピッチに立つ3人の審判と1人の控え審判に、さらに2人の審判を加えること。追加の2人が両ゴール付近に立ち、ゴールラインを割ったかを確認する。海外の主要大会などではすでに導入されている。
「今季は試験的に、天皇杯準決勝以降など重要な試合に限り、AARが採用されていきます」(同)
しかし、このAARは『主審ライセンス』を持った者でなければならない。今季、Jリーグに登録されている審判員は全部で134人。J1は18チーム、J2が22チーム、J3は16チーム。一節当たり最大28試合をAARを含めた審判6人制で行うとすると、合計168人が必要になる計算で、審判員の数が絶対的に足りない。
また、'14年W杯ブラジル大会から採用された『GLT』は、「初期投資で4000万円強」が必要という。当然、全試合会場に設置しなければ、不公平が生じる。
「日本がUAE戦の誤審を訴えた時点で、『オマエんとこはどうなんだよ!?』となる。AARに対応できるだけの優秀な主審数を増やすか、GLTを全スタジアムに設置しますと表明したのも同じ」(Jリーグ関係者)
追加副審をつけるという形で当面は良しとするしかないか。