3月25日現在、ミスターの外出してのリハビリは再開されていない。時折、スポーツマスコミを通じて、山口オーナーや次女・三奈さんのコメントが聞こえてくるだけだが、三奈さんによれば、ミスターの胆石が消えただけでなく、検査で体内にあったはずのステントも消えていたという。
「これが本当だとすればまさに奇跡ですが、胆石はともかく、ステントまで消えたというのはにわかには信じられない。いったいミスターの本当の病状はどうなっているんでしょうか」(スポーツ紙記者)
入退院の情報が漏れたこともあってか、ミスターの近況を知るのはごく近しい関係者のみだ。そんな厳戒態勢の中で長嶋さんから直接電話を受けたというX氏はこう話している。
「長嶋さん自身は『外を歩きたい』と言っているのですが、なかなか実現できないようです。ただ、外出しないのは決して寝込んでいるわけではなくて、病院でも、自宅に戻ってからも、室内で歩くことでリハビリを続けていますよ」
では、本人が望んでいるにもかかわらず、なぜ以前のように外出してのリハビリを行わなくなったのか。
「周囲が気遣って止めているんです。中でも三奈さんが強く反対していて、入院中から『絶対に外を歩かないでね』とクギを刺していた。ミスターも今回ばかりは珍しく三奈さんの言うことを聞いています」(同)
確かに、これだけ長い入院となると、日常生活に必要な筋肉まで落ちてしまっている恐れがある。ましてミスターには脳梗塞の後遺症もある。
「いくら長嶋さんとはいえ、半年も病院にいたのですから体力も筋肉も落ちているでしょうし、年齢的なことを考えると激ヤセしていてもおかしくない。三奈さんが人前に出さないように言うのはそんな姿を見せたくないからかもしれません」(前出・スポーツ紙記者)
そして実はもう一つ、ミスターの近況が聞こえてこない理由がある。長嶋家が抱える“兄妹骨肉バトル”の問題である。
「長嶋家はバラバラで、特に長男の一茂と次女の三奈さんの仲は完全に破綻していますからね。’07年に亜希子夫人が亡くなった際、一茂が会社を乗っ取ろうとしたことが原因といわれています。ミスターが胆石で入院した今回も、三奈さんは一茂に連絡してお見舞いに来られることすら嫌がったそうです。周囲の関係者はなんとか2人の関係を修復したいと願って神経を使っていますが、仲裁できる人物はいません。この確執があるため、三奈さんも周囲を信用できず、情報漏れに過敏になっているんでしょう」(女性誌記者)
確かにこの15年間、一茂がミスターのリハビリ現場に姿を見せたことは、私の知る限り一度もなかった。
3月20日午前7時、異変があった。いつもは長嶋宅にあるはずの公用車センチュリーがなかったのだ。20日といえば、イチローが引退会見を開いた前日だ。
ピンときた筆者はイチロー担当の新聞社記者に確認すると、東京ドームに止めてあるセンチュリーを目撃していた。また、筆者自身も各方面に取材網を広げたところ、「イチローとミスターは引退発表前に会っている」という情報を得た。
もちろん、東京ドームのセンチュリーが同一車かは分からないし、イチローとミスターが接触した現場を押さえたわけではない。しかし、今回のメジャー開幕戦が東京ドームで行われた経緯からして、イチローから長嶋へ直接、事前報告があっても不思議ではない。
昭和と平成のスーパースターの“密会”にロマンを感じるのは筆者だけではないはずだ。
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【吉見健明】1946年生まれ。スポーツニッポン新聞社大阪本社報道部(プロ野球担当&副部長)を経てフリーに。法政一高で田淵幸一と正捕手を争い、法大野球部では田淵、山本浩二らと苦楽を共にした。スポニチ時代は“南海・野村監督解任”などスクープを連発した名物記者。『参謀』(森繁和著、講談社)プロデュース。著書多数。