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取手の通り魔事件現場に突入した元プロボクサー・松本岩夫さんが教えてくれたこと

 12月17日午前7時40分頃、茨城県取手市のJR取手駅西口で、停車中の路線バス2台に、刃物を持った男が乗り込み、乗客の中・高校生らを切りつけた通り魔事件は日本中を震撼させた。乗客14人を負傷させた斎藤勇太容疑者(27)は、殺人未遂の現行犯で茨城県警に逮捕された。

 この惨劇のさなか、バスに突入して犯人の刃物を取り上げた勇敢な老人がいた。その老人は北相タクシーの運転手で元プロボクサーの松本岩夫さん(67)。
 松本さんは駅前付近で客待ちをしていたところ、悲鳴を聞いてバスに飛び乗った。すでに容疑者は20代の男性2人に取り押さえられていたが、床に落とした長さ25cmの刃物を奪い取って、背広の内ポケットに収めるお手柄を挙げた。

 松本さんは昭和30年代に活躍した元プロボクサー。名門の金平ジム(現協栄ジム)に所属し、フェザー級で11戦をこなした。昭和39年(64年)には防衛戦のために来日したWBA、WBC世界フェザー級王者のシュガー・ラモス(キューバ)のスパーリングパートナーに抜てきされた経験もある。
 「オレはこんなジジイだし。どうなってもいいから未来のある高校生を助けなきゃ。本当にそんな思いだった」と語った松本さん。

 昨今、不祥事を起こす格闘家やプロレスラーが多い。素人に手を出すバカ者もいる。惨劇の現場に突入することがいいことかどうかは、一概にはいえない。しかし、松本さんの勇敢な行為は何かを教示してくれた。本当に強い男とは、“心”が強くなくてはならない。現役を退いて40年以上経っても、松本さんの“心”は今もプロボクサーのままである。
(ジャーナリスト/落合一郎)

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