日本気象協会によると、昨年は花粉の飛散量が少なかった北陸、関東甲信越、東北地方では、今年の春は前年の2〜3倍の確率で発症するとの予測が出ている。逆に九州、四国は当初から非常に少なくなると予想され、実際に“西低東高”の状態となっている。
同協会関係者によると、花粉数(粒状の細胞)が1日1平方cm当たり30個を超えると花粉の症状が悪化する。シーズンの花粉数が1000個の場合、30個以上飛散する平均日数は11日前後だが、2000個になると22日、4000個では34日間にもなる。場所によって異なるが、その期間、我々は花粉の“暴露”を被るわけで、「これは堪らん!」となる。
花粉がもっとも多いシーズンに入るのは2月のバレンタインデー辺りからといわれ、まさしく今が最後のピークなのだ。
都内に住むサラリーマンBさん(50)はこんな体験を話す。
「勤務先の同僚も、花粉症について聞いたこともないような弱音を吐くようになりました。数年前に花粉症を発症した私は、これまで2月末から予防薬を飲むようにしていましたが、飲んでいても今頃のシーズンになるとくしゃみと鼻水の症状に襲われる。それで今年も結局やられてしまい、参りました。ティッシュは手離せません」
つまり、事前の予防薬は役に立たないというわけだ。
医学博士・久富茂樹院長はこう語る。
「花粉症の症状は一時的なもの。症状も出ていないのに、眠気などの副作用のある薬を飲むのはいかがなものでしょうか。私も眠気で仕事にならないと困るので事前に飲む事はしていませんが…」
久富院長は今、医療関係者に勧められ飲んでいる漢方薬で対処しており、幸いその薬効に救われているという。
「花粉症は、副交感神経の働きが過剰になり鼻水などの分泌が促される症状。さらに血管の収縮や緊張も緩み症状が強く出ます。副交感神経はリラックスした時などに優位に働く自律神経で、活動時には交感神経が優位に働く。本来は副交感神経がバランスを取って働いていますが、今の人は生活習慣が不規則だったり、睡眠時間が短いか長いかのどちらかの傾向に傾き、免疫力が落ちて花粉症の発症につながりやすいので注意が必要です」(同)
院長は花粉症対策として(1)周りの花粉を減らす(2)花粉の侵入を防ぐ(3)花粉症の症状を軽減する、ことを挙げながら、さらにこう続けた。
「花粉が接触する部分は、眼と鼻、喉になります。風邪を引いて粘膜が傷んでいると、花粉が粘膜に付着して、さらに症状を悪化させます。その意味では、風邪を引かない事が花粉症予防の上で最も大事なこと。花粉症の悪循環を断ち切るためにも、日頃の生活を見つめ直すことが大切です」