昔トゥナイトで、アイドルストリッパーの追っかけのおじさんを特集していた。全国の劇場に行き、演舞の決まった箇所でクラッカーを鳴らすそのおじさんは、終演後ごみを片して満足そうに家路に就くのである。
いわゆる“リア充”の人ではなかったか。
時は移って現在−−。
お笑いライブ会場に女芸人目当てのおじさん集団がたむろしている。
確かに、鳥居みゆきなどは美人だし、「ヲタ」も多そうだ。
いっぽう、ブログ旅で人気急上昇中の稲垣早希は、NSC大阪校の女性タレントコース出身。タレント→お笑い芸人のルートだから、当然かわいい。
しかし、大半の女芸人は、アイドルよりもルックスは劣るのではないか?
女芸人をあえてアイドル視するというのはちょっと「外してきたな」という感じもするし、あえて“汚れ”を演じる彼女たちを支えるというのは、新しい社会現象ならぬ、「新しいフェチ」とも言えそうであるのだが…。
実際評判はどうなのだろうか。
「“○○ドル”と呼ばれる方々も含めると、いまやファン側に多岐に渡る選択肢が存在します。その中で『アイドル芸人』というジャンルも生まれたとして、それほど不思議では流れではないのかと考えております」
と話すのは、自らも女芸人の追っかけを自称する斉藤氏(仮名、37歳)だ。いろいろと聞いてみた。
−−おじさんはどんな応援をするのか。コールとかみたことないですが。
「私に限らずですが、複数の芸人さんが出演する公演ではおとなしく見ていますよ。そういう点では女性ファンよりも分別があるのかもしれません。ただし女性芸人の単独ライブになると話は違います。比較的アイドルに近い女性芸人のライブですが、応援グッズありペンライトあり掛け声・コールありです(笑)」
−−女芸人さんの反応は?
「やはり楽しませることが職業、非常にフレンドリーに接してくれる方が多いです。また、アイドルに比べると容姿が劣っている方も多いから? やさしいですね」
−−腐女子は嫌われる、と聞いたことがあります。いわば女の園での、女の子ファンたちとの関係は?
「女の園、と思う時点で劇場には行かないです、オタクは周囲の目はあまり気にしないですから(笑)。女性ファンも男性ファンが邪魔をしない限りは何も気にされてはいないです」
劇場によっても雰囲気は違うらしい。
−−いつごろからの風潮ですかね。
「《芸能人女子フットサルリーグ》が発足したのが大きかもしれません」
−−当方が認識した、<出待ち> <本人との長話> <妙なアングルのカメラ> <電車に一緒に乗る>、は事実!?
「私はあまりしない方ですが、<出待ち>や<入待ち>は、普通に行われています。あまり頻繁にしてしまうと本人にはあまり良い印象を与えないみたいです。出待ちにも関連しますが<本人との長話>、もありますね。<妙なアングルのカメラ>については、グラビアアイドルファンから流れてきた方がよくされている光景ですね。<電車に一緒に乗る>は、あまり実態としては把握しておりません。私も偶然同じ電車だったことは何度かありますが、気づいた場合は車両を変えたりしています。少々問題になっているケースもあるようですが」
うーん、出待ちだけ、なんてやっぱりどんな世界でも当然嫌われるのではないか。
−−いま劇場でブレイク中、もしくは男性に人気の女芸人さんを教えてください!
「友近さんやハリセンボンさんは老若男女に人気があります。他に東京吉本であれば、少年少女さん、出雲阿国さんあたりでしょうか? 大阪吉本であれば稲垣早希さん、宇都宮まきさん、小泉エリさん。NSC女性タレントコース5期生のメンバーを中心としたユニットなども人気が出てきましたね。吉本興業所属ではないのですが、鳥居みゆきさんは、熱狂的なファンがついているというのは耳にします」
現在はアイドル業界も多種多様となってきた、のみならず、ファンと目線が近いこと、性差というものを感じない世の中になった、あえて女芸人? とは、そんなところだろうか。
また、2030年には未婚男性が三分の一になり、孤独死も増える、とNHKスペシャルで言っていたが、そういうことも関係あるのかもしれない。
それにしても、少年少女、追っかけちゃいますかー。(了)
ライター 澤井瑛和