1位 三菱重工
2位 川崎重工
3位 NEC
4位 ANA
5位 三菱電機
6位 IHI
7位 富士通
8位 東芝
9位 コマツ
10位 三井造船
とりわけ三菱重工は際立っている。同社は戦闘機、戦車、護衛艦、そして今回のそうりゅう型潜水艦、さらには魚雷、パトリオットミサイルなど陸空海にわたる武器を製造する、いわば武器の総合メーカーだ。
限定的な国内市場を、こうして大手メーカーが分け合っている。しかも、この上「武器等製造法」が新規参入の壁を高くしている。同法では、武器の製造を行うには工場、武器の種類、設備、技術、保管など経済産業省が定める要件を満たすことが条件。わずか2兆円足らずの市場規模で費用対効果を天秤にかければビジネスとしてのメリットは薄く、新規参入の魅力もない。契約が既存メーカーに集中するのも、価格が高い理由もここにあるのだ。
「日本では武器生産に特化したメーカーはなく、総じて防衛部門の依存度は低い。三菱重工でさえ、2014年度の総売上高3兆9921億円中、防衛部門は3850億円、9.6%です」(前出・ジャーナリスト)
日本の軍需産業は市場性も競争力も将来性もなく、ますますガラパゴス化するばかり。この悪循環を打開するため、安倍政権は一昨年4月に防衛装備移転三原則を閣議決定し、武器輸出解禁に踏み切ったのである。
当初は経団連の後押しもあった。しかし、武器輸出に前のめりの政府とは裏腹に企業サイドの輸出体制はまだ整っておらず、対応にも温度差がある。
実は今回の豪州向け潜水艦輸出についても、メーカーは技術流出や貿易保険などのリスク回避が担保されないとして慎重だった。
「潜水艦に限らず、そのうち諸外国経由で国内外の軍需産業各社に技術が流出する可能性があります。その結果として、低価格で高性能の兵器製造が可能となれば、日本の軍需産業はますます収益性が低くなるかもしれません」(大手武器メーカー役員)
軍需産業は絶えず技術革新があり、各国は常に最新の性能を求める。さらに、使用されれば消耗して追加需要も期待できるという利益の大きい産業でもある。日本の技術力をもってすれば、得意分野になる可能性は十分あるだろう。だが、どうしても紛争が多発するほど景気がよくなるという“死の商人”の暗い側面も併せ持つことになる。
製造するのは紛れもない「人殺しのための道具」であり、それは国と国とが本気で殺し合いをすることが前提だ。そのことを決して忘れてはならない。