若武者・石川の米ツアー初挑戦は、散々な結果だった。先月19日から行われた「ノーザントラスト・オープン」は、初日2オーバー、113位と出遅れ、2日目もスコアを伸ばすことはできず、トータル2オーバー99位で無念の予選敗退。それだけに今回は、リベンジに燃えている。
「一時帰国の2週間、プロコーチから初レッスンを受けるなど、米仕様のスイング改造に取り組みました。昨年のドライバー飛距離は平均290ヤード。国内で7位の飛ばし屋も、米国なら40位台の中堅どころ。やはり300ヤードまで伸ばしたいようです。もちろん、短期間で結果の現れることではないが、すぐに課題のクリアに向けて臨むあたりが石川親子のいいところ。『世界の(岡本)綾子』を育てたマイク小西から指導を受けました」(クラブメーカー関係者)
日米でレッスン活動を続けるカリスマ・プロコーチの理論により、新フォームは右肩をかなり下げるもの。素人目にも歴然の大胆なモデルチェンジだ。
しかし、今回の改造に対し、多くのゴルフ関係者が首を傾げているという。
「あれは、マスターズに向けての秘策じゃない。予選落ちした場合の言い訳作りの一つ。新人がこの時期にフォームをいじるなんて、常識的には考えられない。また、経験が重視されるマスターズで、キャディーもそのまま。確かに遼クンが兄のように慕う方で、リラックスして臨めるでしょうが…。現段階での最大限の結果を残すという、期待の若武者らしい挑戦意欲が伝わってこないため、米メディアも醒めてます。『アイツは新進気鋭のルーキーじゃないのか』と、嫌味まで言われましたよ(苦笑)」(米在住スポーツライター)
もちろん、ハニカミ王子ではなく、父勝美氏の下した決断だ。そこには別の目的が見え隠れするという。
「そもそも、米ツアー挑戦を時期尚早と考えていた節がある。彼のプランニングでは2年ぐらい先だったと思いますよ。だからこそ、あれだけ先を読み、自ら国内のマネジメントを行う勝美氏が、今年2月にあわてて海外限定のマネジメント契約を『IMG』と結んだ。実際、米ツアー初戦を前にして『今回(の米ツアー)は(開幕前の)キャンプ(練習)みたいなもの』と、不遜(ふそん)に映りかねない発言をしてひんしゅくを買っていましたよ。駆け回って推薦を取り付けたIMG関係者さえも、苦笑いを浮かべてました」(前出・ライター)
ゴルフ専門誌のカメラマンも同じ意見だ。
「今回、IMGと契約した理由も、あのタイガー・ウッズが所属していることで選んだように感じる。遼クンの憧れの人物であり、彼のモチベーションを上げるには最高の存在ですからね。マネジメント能力なんて期待していないんじゃないかな。だって、初戦でも父勝美氏の要望で、カリフォルニアからアリゾナまで車2台で移動している。いくら空港の警備が厳しく、手荷物検査に時間がかかり、ヘビースモーカーの勝美氏が自由にたばこが吸えないからとはいえ、その移動距離は800キロですよ。車で約10時間、飛行機ならわずか90分。常識から考えて、あり得ません。車を2台もチャーターするぐらいなら、荷物だけ車1台で運び、飛行機で移動すれば済むことじゃないですか。相変わらず海外でもスタッフ泣かせの横暴な態度ばかりが目立ちますし、英語力に欠け、旅慣れていないことも露呈してしまいました」
では、そんな米ツアー挑戦を軽く見ている勝美氏の今季の思惑とは?
「ズバリ、大学受験でしょう。常日頃から上智大出身ということを口にする遼パパは、息子の大学進学にも積極的に動きますよ。昨年10月にツアー優勝し、10年までのシード権を獲得した時、『これで大学受験の選択肢も増えた』と、非常に喜んでいた。ただ、残念ながら母校への進学は無理。スポーツ枠がないですから。第1志望は早稲田大学。マスターズ挑戦の実績があれば、『スポーツ枠』なら問題ない。プロの遼クンは、大学のゴルフ部に入れません。それよりも、名門という冠がほしいのではないか。早大進学こそ、今季一番の目標ですよ」(国内ツアー関係者)
世界最高峰のマスターズ挑戦さえも、ソロバン勘定の1つなのか…。